韓国紙「米半導体再興は韓国の戦略的価値を消す」「日本の輸出規制は米の暗黙了解か」

韓国紙が米国の半導体サプライチェーン(供給網)強化や、それに伴う機密情報の韓国半導体企業への開示要求などから、韓国の外交的・経済的な戦略価値が今後低下する可能性があるとの見方を示している。

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韓国経済新聞は13日、アン・ヒョンシル論説委員のコラム『口だけの経済安保…後追いだけの政府』を掲載し、このように報じた。

アン論説委員は、米国が過去、自身の経済的地位を脅かしたソ連、日本などを能動的に抑制し、今は中国がその対象となっていると指摘し、「その核心は技術である」と述べた。

先日、米政府はホワイトハウスにおいて今年三回目となる半導体会議を開き、サムスン電子など半導体企業に対し、顧客情報を含む営業機密情報の自主的な提供を求め、自主的としつつ戦時法動員による強制提供の可能性についても示唆している。

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これについてムン・スンウク韓国産業部(省)長官は国政監査において、「(米国の要求が)通常の常識では異例の措置」であると述べているが、韓国経済新聞は、もはや異例ではないと指摘する。

アン論説委員は、すでにトランプ前米政権が外国産自動車に貿易拡大法232条の適用を検討するよう指示したことを「通常の常識を破る措置だった」と指摘した上で、「共和党から民主党に政権が交代したが、アメリカの《トランプ主義》は、より洗練され進化している面もある」とし、もはや「私たちが知っていた米国ではない。異例の措置が米国の産業政策の典型として固まる様相だ」と分析している。

アン論説委員は、米国がサムスンに機密情報を要求する背景として、「韓国の独歩的な半導体生産技術の優位性がサプライチェーンを強化しようとする米国として戦略的価値がある」ためであるとし、「《半導体崛起》を放棄しない中国もそうだ」と述べた上で、現在において韓国が米中双方にとって戦略的価値がある状態であると説明した。

しかし、文政権が好む「戦略的曖昧さ」は、「米・中ともに韓国の戦略的価値を認めるから有効である」とし、「どちらか一方が、もはや(価値が)無いとみれば、戦略的曖昧の寿命も尽きるしかない」と述べている。

アン論説委員は、「このような観点から見れば、米国が国内サプライチェーンの強化を終えた後がより恐ろしい」とし、「韓国の戦略的価値が維持されるという保証がないからだ」と説明した。アン論説委員は、韓国で半導体工場の建設が(自治体や住民の反対など含む)様々な障害で遅れている一方、米国は自国の安全保障が絡むため半導体サプライチェーンの構築を遅くとも5年以内に終える可能性があるとし、「韓国に残された時間はあまりない」と吐露している。

一方で、日韓関係が最悪であることか、「米国・台湾との同盟ラインを描く日本は、暇さえあれば、韓国が《中国に技術を流出されるルート》であるという認識を米国に受ける用途しているようだ」と述べ、「韓国の半導体産業を狙った輸出規制(輸出管理強化)も、中国の日米安保の脅威を事前に遮断するという論理で、米国に暗黙の同意を求めたではないかという疑問が出るほどだ」との見方を示した。

そのような中、韓国は生存をかけて勝負をする必要があるとしつつも、「政府と企業間の信頼関係が今のように最悪の状況では何もできない」とし、「米国の半導体サプライチェーン情報の要求は、今後、より大きな後遺症に至る予告弾かもしれない」と警鐘を鳴らした。

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