“6年ぶりV”目前も… ヤクルトに「1995年に似ている」の声が出る理由

「経験値」が大いに評価されている

セ・リーグ首位のヤクルトは14日の中日戦(バンテリン)に1―1で引き分け、マジックをひとつ減らし「7」とした。2位・阪神が勝ったためゲーム差は2となったが、6年ぶりの優勝に向けチーム内は盛り上がる一方。「あの年に雰囲気が似ている」とチーム関係者も確かな手応えを感じている。

「あの年」とは直近のVイヤー2015年ではなく、さかのぼること26年。1995年に野村克也監督(故人)のもとリーグ優勝&日本一も達成したシーズンだ。中軸を打つ山田哲人&村上宗隆の侍ジャパンコンビをはじめ、リーグ1位の580得点でチームは「打」のイメージがあるが、古株のチーム関係者が躍進を支える根拠に挙げたのは捕手陣の存在。今季は選手会長・中村悠平(31)が98試合で先発し、2番手捕手で5年目の古賀優大(23)が同32試合と実質、捕手2人制を敷いている。だが〝肝〟はもう一人の控え捕手・嶋基宏(37)だという。

「これはもう彼(嶋)の経験値だと思う。ベンチで守りのときの味方の投手の配球はもちろん、攻撃のときでも、試合展開を見ながら、周りにいる若い野手たちに今すべき必要な準備を話してくれて。今年のウチは何が違うかと言えば、ゲームに出る以外の選手も『自分の役割は何なのか?』『どのタイミングで出番があるか?』を的確に予測して、試合に入ることができている。途中から出た選手が役割を果たしているからこそ、接戦にも強い」

9月1日以降は22勝9敗5分けと貯金をため込んだが、5点差以上の勝利は5試合。接戦に強い舞台裏には、正捕手として13年に楽天で日本一に貢献し昨季、ヤクルトに移籍したプロ15年目のベテラン捕手の陰のアシストが見逃せないという。ここまで先発は1試合、途中出場や代打でわずか出場15試合も、ベンチでの存在感とナインの信頼は絶大だという。

95年も正捕手として古田敦也が全試合出場の一方で、ベンチには控え捕手に野口寿浩、代打の切り札として元正捕手だった秦真司など〝キャッチャー目線〟でスタンバイを続ける面々が、ベンチに控えていた点も相通じるという。

ペナントを争う2位・阪神の矢野監督は高津監督同様に現役時代、野村氏の薫陶を受けた。燕にはさらに楽天時代に教えを受けた嶋もおり、阪神よりもそのエキスはナインに広く染みわたっている模様で〝野村ID〟もチームの快進撃を支えている。

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