泥沼巨人の小さな希望か… 岡本和が〝隠れ野望〟達成まであと一歩

暗い巨人ベンチでは岡本和が光だ(東スポWeb)

またもやブレーキだ。3位・巨人は8日の広島戦(マツダ)に2―6の逆転負けを喫して4連敗。残り11試合で首位ヤクルトとは9・5ゲーム差まで広がり、いよいよツバメの姿は見えなくなった。その中でかすかな光をともしたのが岡本和真内野手(25)だ。12試合ぶりにマークしたマルチ安打で、主砲が抱く〝隠れ野望〟の達成へ、また一歩近づいた。

2点を先制したが、すぐさま2回に同点に追いつかれると、もはや追加点を挙げる力は残されていなかった。先発した山口は5回途中6失点KO。再びトンネルに突入した原辰徳監督(63)は「2点取ったからということで褒められるものではないとはいえ、何となく勢いがつきそうだけれど、なかなかというところよね」と悔しさを押し殺した。

敗戦の中にも見えた数少ない希望は、主砲・岡本和が9月24日の阪神戦(東京ドーム)以来となるマルチ安打をマークしたことだろう。9月は打率2割4分2厘とブレーキがかかり、今月も試合前まで1割5厘。38本塁打、106打点で打撃2冠は辛うじてキープしているが、チームが失速する大きな要因となった。そこでライバル球団関係者の間からは「坂本や丸の状態が上がってくれば、そろそろ岡本和も4番から外されるかもしれない」とささやかれていた。

「4番・三塁」での全試合先発出場は、岡本和自身が掲げる〝裏テーマ〟でもある。2018年6月から4番に定着して今や「巨人の顔」となったが、〝シーズン完走〟は成し得ていない。19年は打撃不振に陥り、原監督が6月に「少し精神的に楽なところで岡本を打席に立たせたい」と6番に降格。7番も経験し、守備位置も左翼や一塁にも回った。そして120試合の短縮日程となった昨季は三塁を死守した一方で、9月に腰痛を発症した影響で2試合欠場した。

このまま復調の兆しや結果を残せなければ、この日まで132試合積み上げてきた努力が水の泡となる可能性もあったわけだ。CS突破を果たし、下克上で日本一を達成するには背番号25の復活が不可欠。崖っぷちで踏みとどまった岡本和はV字回復できるか見ものだ。

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