「どちらに転んでも僕たちに策はある」野尻智紀、自身初タイトルへ不安なし/SF第6戦金曜会見

 10月15日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦が開催される栃木県のツインリンクもてぎで、日本レースプロモーション(JRP)が主催する金曜日会見が行われ、今大会で自力チャンピオン決定の権利を持つ野尻智紀(TEAM MUGEN)が参加し、自身初チャンピオンに向けての想い、そしてレースへの意気込みを語った。

 いよいよシーズン残り2戦となった2021年のスーパーフォーミュラ。チャンピオン争いも佳境を迎えており、第5戦終了時点で76ポイントを獲得しランキングトップを独走しているのが野尻だ。この第6戦で野尻は12ポイント以上を獲得できれば今季のチャンピオン確定となる。

 そんな重要な大会に向け、まずここまでのシーズン振り返りを求められた野尻は、「今シーズンは開幕戦から結果を残せていますし、チームとともにやってきたことが良い方向に出続けてくれています。そういったところの自分たちの強さだったり大きな自信というものが、僕個人だけでなくチーム全体でできているので『こんなにうまくいくことがあるのか』『こんなに強いチームがあるのか』と心の底から思っています」とチームも称賛した。

2021スーパーフォーミュラ第6戦もてぎ 金曜会見に出席した野尻智紀(TEAM MUGEN)

 野尻はこの第6戦での自力チャンピオンに“王手”をかけている状態だが、ポイントランキングについては意識しているのだろうか。そのことについて聞かれた野尻は「まぁ大体は」と答えたが、あくまで注力しているのは第6戦でのパフォーマンスであることを強調した。

「自分の人生に関わることなので(ポイントランキングを)把握はしていますが、ただ残り2大会もあるのでここで終わってはダメです。なので、それより大事なのは(第5戦から)気候の変わったコンディションになるであろう第6戦で、前戦以上のパフォーマンスを出すというところに注力しました」

 2021年は開幕戦の富士でポール・トゥ・ウイン、続く第2戦鈴鹿では予選2番手から優勝を飾り2連勝、そして前戦の第5戦もてぎでも独走でポール・トゥ・ウインを飾っている野尻に対して、「メンタル面でも以前より強くなっているのではないか?」という質問が飛んだ。野尻はこのことに対して「僕自身もいろいろと経験を積んで大人になった部分もあると思いますが、個人的には外的要因といいますか、周りの人達の頑張りにすごく良い影響を受けています」とコメント。

「というのも、今回のもてぎに来るまでの間もそうですが、チームの『そこまで細かいところまで、しっかりとやってくれているんだ』という部分が、サーキットに入ってひとつひとつ細かいことを確認していくと、同じチームの仲間に対してすごく感動を覚えるような取り組みをチームがしてくれています」

「なので僕自身も『もっともっとやらないといけないな』という気持ち的な部分で奮い立たされ、単純に僕だけが変わってどうにかなったわけではありません。僕がチームに何かを与えられている部分もあるかもしれないですが、チームが僕にもたらしてくれる部分もかなり大きいと思います。そのあたりがメンタル面にも現れているかもしれません」

 そして明日から走行が始まる第6戦での注目点が天候だ。金曜日時点でのツインリンクもてぎの天気予報は、土曜日日曜日ともに“曇り一時雨”が予想されており、日曜日は降水確率も高くなっている。野尻がポール・トゥ・ウインを飾った8月の第5戦はドライコンディションで行われたが、10月の第6戦ではコンディションも変化し路面温度も低くなることが予想される。しかし野尻に不安要素はないとのことだ。

「コンディションは分からないですが、『こういうコンディションになるだろう』ということを想定してマシンを持ち込んでいます。そのなかで路面温度が低くても『タイヤがしっかりと発動するのか?』『逆にダウンフォースが増えてもっとグリップが増える』など、見えない部分でどちらに転んでも僕たちのなかに策はあるので、そこまで不安はなく、いつもどおりに細かいところまで追いかけていけば、今週も変わらないパフォーマンスを出せると思っています」

 自身初チャンピオン獲得に向けても「そのつもりで来ています」と即答した野尻。今季は開幕戦から好調さを見せ、シーズン中も速さと強さを兼ね備えた野尻が最終戦前に悲願の戴冠を果たすのか。明日からの走りに注目だ。

最終戦を待たずの自身初タイトルに王手をかけている野尻智紀(TEAM MUGEN)

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