NPB開催の女子小学生“ビッグイベント” 10年目は「47都道府県の参加を実現したい」

8月に愛媛県松山市で開催された「NPBガールズトーナメント」の様子【写真提供:(株)共同写真企画】

NPBガールズトーナメントも12球団Jr.と並び小学生の一大イベントに

阪神や西武といったプロ野球球団が運営する女子クラブチームが誕生し、今夏は初めて女子高校野球の決勝戦が甲子園で開催された。小学生に目を向けると、NPB(一般社団法人日本野球機構)などが主催する女子小学生チームの全国大会に今年は39チームが参加した。スタートから10年となる来年の大会には47都道府県からの参加が目標に掲げられているなど、女子の野球環境にも変化が見られる。

8月5日まで6日間に渡って頂点を争った「NPBガールズトーナメント」は、栃木代表の栃木スーパーガールズの優勝で幕を閉じた。NPBと公益財団法人全日本軟式野球連盟が主催するこの大会は、2013年に始まった。最大の特徴は、参加する小学生チームのメンバーが「女子だけ」というところだ。

小学生で野球をしている女子の多くは、男子と同じチームでプレーしている。試合に出場できる機会が少ないことから、練習の成果を発揮する場をつくり、さらには女子野球の裾野を広げる目的で、女子選手のための大会をスタートさせた。

昨年は新型コロナウイルス感染拡大により中止。今年は感染症対策を講じた上で2年ぶりに開催された。NPB関係者は大会を重ね、女子野球への関心が高まっていると実感。来年で10年を迎える大会に向け、新たな目標を掲げている。

「1つの節目として、47都道府県すべてからチームの参加を実現できるよう、参加したいと思ってもらえるような魅力ある大会にすべく、取り組んでいきたいと考えています」

夏と冬に小学生の“ビッグイベント”を開催できる喜びと期待

今大会は38の都道府県から39チーム(NPBの推薦枠1チーム)が参加した。2019年には最多となる42チームが参加している。NPBによると、今年は自治体の協力で例年以上にチームへの補助を厚くできたという。資金面でチームを結成できない問題もあるため「来年以降の大会でも、引き続きサポートできるよう準備をしていきたい。各都道府県での女子の大会開催を含めて、女子野球のさらなる底辺拡大と競技者人口増に貢献し、女子野球全体を支えていければ」と意気込んでいる。

出生率の低下もあって、野球の競技人口は減少傾向にある。この流れに歯止めをかけようと、NPBでは「ガールズトーナメント」を立ち上げる前から、「12球団ジュニアトーナメント」を開催している。2005年に開始した大会は、12球団がそれぞれ、小学5、6年生を中心としたチームをつくって優勝を争う。女子選手も登録が可能だ。

毎年、冬に開催されており、NPB関係者は「夏にガールズトーナメントができたことで、年に2回小学生のための大きな大会を見られるのは主催者や野球関係者にとって大きな喜び。どちらの大会にも出場する女子選手をチェックするのも楽しみの1つです」と語る。

女子野球界では阪神や西武のようにNPB公認の女子クラブチームが誕生し、高校は今夏初めて球児の聖地である甲子園球場で決勝戦が行われた。女子野球の発展に貢献している「ガールズトーナメント」。女子の裾野を広げるだけではなく、男子野球との相乗効果を生み出し、野球人口の回復も期待されている。(記事提供:First-Pitch編集部)

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