農林水産大臣に就任した 金子原二郎さん(77) 成長産業化を進めたい

農林水産大臣に就任した金子さん

 〈長崎県選出の金子原二郎参院議員(77)=自民=が岸田文雄内閣で農相に就任した。父の岩三氏(故人)に続き、親子2代での農相就任は県内政界で初めて。農林水産業が直面する課題や意気込み、国営諫早湾干拓事業の開門問題などについて聞いた〉

 -抱負、意気込みは。
 農林水産業の振興は衆院議員や知事時代から取り組んできた。地方創生が叫ばれる中で企業誘致はなかなか難しい。やはり従来ある農林水産業をしっかり育てていくことが大事だと思ってきた。今回、就任の話をいただき、やりがいを感じている。任期中、今までの知識を生かしながら精いっぱいやりたい。知事時代から現場主義でやってきた。現場の実態に合った政策を進めたい。

 -親子2代での農相就任となる。
 岸田文雄総理から入閣要請の電話があった際「父が務めた職。ありがとうございます」と礼を言った。まさかと思った。父は農林水産業に詳しく、農相を最後に引退した。そして次の選挙で僕が衆院に初当選した。父も喜んでいると思う。

 -農林水産業が直面する課題は。
 まずは食料の安定供給を将来にわたって確保していくことだ。これは国家、国民に対する基本的な責任の一つ。この責任を果たすには、国際競争や災害に負けない足腰の強い農林水産業を構築する必要がある。岸田内閣では輸出力の強化やデジタル技術の活用、地域ブランドの確立による高付加価値化など、成長産業化を進めていく。
 新型コロナ対策は一番の緊急課題。飲食店を支援する「Go To イート」は一定の効果があると思っており、他の支援事業もいろいろやっている。これからも続けていくことが重要だ。そして今はコメの値段。安くなっており、農家の人たちが心配している。総理からも入閣の際、しっかり対策を講じるよう話があり、今取り組んでいる。

 -諫干開門問題をどう進展させるか。
 なかなか難しいが、どうにかして和解に持ち込めないかという気持ちは持っている。国としては「開門しない」が前提。知事時代に(短期の)開門調査をしたが、あの時はまだ諫干が完成していなかった。今はもう農業が行われ、一時的にでも海水を入れたら、いくら対策をしても、いろいろな問題が出てくる。特に干拓農地では野菜農家が多く、影響を考えれば開門は難しい。開門しないとの前提の中で相手(開門派漁業者)にも話をしてもらえればと思っている。

 -特別扱いはできないだろうが、農相として本県にできることは。
 我田引水なんかしたら怒られる。ただ、長崎県にも農林水産業の課題があり、なかなか進まない問題もあるので、知事や市町村、農林漁業関係団体の意見などをよく聞いて対応していく。

 -農相就任で九州新幹線長崎ルートの与党PT委員は外れることになる。
 国土交通省との話し合いなど、今までずっと私を中心に取り組んできた。心残りはある。これからどうなるのか分からないが、内閣の一員ではあるので、いろいろ話はできるのではないか。

 【略歴】かねこ・げんじろう 平戸市生月町出身。慶大卒。県議3期を経て1983年から衆院議員5期、98年から2010年まで知事3期を務めた。現在は参院議員2期目。参院予算委員長などを歴任。

© 株式会社長崎新聞社