農漁業者の販路拡大支援 南島原市、直売サイト「食べチョク」と連携

食べチョクのトップページ(南島原市提供)

 長崎県南島原市は今夏から、農漁業者らと消費者をインターネットでつなぐ直売サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデン(東京・秋元里奈代表取締役社長)と連携し、生産者の販路拡大を支援する地域おこしプロジェクトに取り組んでいる。生産者の出店・運用スキルの向上を図り、来年3月までの支援期間の終了後も、新たな販路として定着させることを目指す。
 市の総合シティプロモーション推進事業の一環。島原半島の南端に位置する同市は背後に雲仙・普賢岳、眼前に有明海を望む自然豊かな環境で、豊富な伏流水と厳選した小麦から造られた島原手延べそうめんは全国2位の生産量を誇る。農業産出額の県内シェアも雲仙市と同率1位の16%(2018~19年)で、バレイショ、タマネギ、アスパラガスは市場価値が高い。
 だが、高齢化率は約4割に達し、後継者不足に伴う地場産業の衰退が喫緊の課題。南島原市の生産者や地域のファンなど関係人口を増加させることで農業の活性化を図ろうと、今回の連携に至った。
 同社は19年以降、官民連携による関係人口の増加を目標に掲げ、佐賀や愛媛、新潟各県や兵庫県姫路市など全国計約40の自治体と連携。8月末現在の登録生産者数は5300、ユーザー数も50万人を突破した。
 食べチョクでの販売を通じた販路拡大に向けて同社は、生産者のフォローとして、研修会(計3回)のほか、サイト内に南島原市の生産者や地域の魅力を発信する特設ページを開設、販売促進キャンペーンも行う。
 9月29日には、第1回研修を開催。プロジェクトに興味を持った生産者に対し直売サイトの動向やコロナ禍における消費者の変化・今後の具体的なサポートの流れを解説した。市の募集に応じた生産者の中から、約20人が食べチョクの審査を通過する見込み。
 松本政博市長は「南島原は“おいしい”に恵まれた町。食べチョクを通じて、四季折々の豊富な食材をご賞味いただければ」とコメント。ビビッドガーデンの秋元社長は「自治体と連携することでインターネットに不慣れな生産者さんのサポートの強化をしていきたい。今回の連携を通して、魅力的な南島原の食材を多くの方に知ってほしい」と話している。

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