巨人・原監督はチームを委縮させてないか 苦しい時に選手が声上げにくい環境に

連敗が止まらない巨人に原監督は何を思う(東スポWeb)

【赤坂英一 赤ペン!!】巨人の連敗が16日の広島戦で10まで伸びた。事ここに至って思い出されるのが、原監督の持つ連敗記録の数々である。

第1次政権2年目の2003年9月に9連敗。その9連敗目は2―19という記録的大敗でBクラス転落。原監督と球団代表の確執もあり、シーズン終了を待たずに原監督の電撃辞任が発表された。

第2次政権1年目の06年は6月に8連敗と10連敗。7月に9連敗。10連敗の最中は亀井と西岡コーチが試合後に小競り合いを起こした。9連敗の直後は「どうしていいかわからない」と、上原が涙を流している。

07年には首位・阪神に一時13ゲーム差をつけられたものの、ここから巻き返して優勝した。が、CSは落合監督の中日に1勝もできずに3連敗である(当時は首位の1勝アドバンテージなし)。

CSは14年も阪神に初戦から4連敗して日本シリーズ進出を逃した。この年の巨人は優勝決定からCSまで3週間近くも空き、すっかりタガが緩んで、3連敗すると早くもあきらめムード。あるコーチは「選手がやる気になってくれないと」と、試合前から嘆いていた。

一昨年、昨年と、2年連続でソフトバンクに4連敗した日本シリーズには今さら言及するまでもあるまい。ここまで巨人が逆境にもろくなった原因は何なのか、原監督の下でコーチを務めた経験者はこう指摘している。

「原監督の権力が大きくなり過ぎて、今のようにチームが苦しい時、俺が何とかしてやろうという選手が声を上げられなくなっている。ヤクルトの塩見とか、ソフトバンクの松田のように、元気な選手が1人いるだけでも雰囲気は変わるんだけどね」

原監督は主力の坂本に送りバントをさせ、丸が不調なら二軍に落とす。以前は村田(現一軍野手総合コーチ)を試合途中に帰宅させたり、3、4、5番を打った選手を一日で6、7、8番まで降格させたこともあった。

今季はさらに先発投手の登板間隔を中6日から中5日に縮めたり、カウントの途中で中継ぎ投手を交代させたり。「監督は今度、何を言いだすんだろう」と、戦々恐々としている選手や関係者は少なくないと聞いた。

原監督は、自分に威厳を持たせ、チームに浸透させることで今のチームをつくり上げた。勝つためにはどんなに非情な手段でも使う、という意識を選手にもコーチにも徹底させてきた。が、そんな姿勢がチーム全体を萎縮させてはいないか。もう一度自分の足元を見つめ直してはどうだろう。

☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。コメントに「参考になった」をポチッとお願いします。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。

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