景気6カ月連続据え置き 9~10月 観光は判断引き上げ 日銀長崎支店

 日銀長崎支店は21日、9~10月の県内金融経済概況を発表した。景気全体について「緩やかに持ち直しているが(新型コロナウイルス)感染症の影響で引き続き足踏み感がみられる」とし、6カ月連続で判断を据え置いた。観光は10月に入り修学旅行や個人客の動きが出始めている点を踏まえ、3カ月ぶりに判断を引き上げた。
 観光は、8月以降の新型コロナ第5波の影響で落ち込んだ状態が続いているが、感染者が減少している10月以降、改善の動きがみられる。同支店の聞き取り調査によると、10月に入り、宿泊施設や観光施設に修学旅行が戻り始め、個人客も週末を中心に改善。一方、飲食店の客足や予約の動きは鈍く、依然、不透明感があるという。
 鴛海健起(おしうみたけゆき)支店長は観光について「明るい兆しがじわりと出ている。経済活動と感染再拡大の防止の両立に向けた取り組みが進む中、外食や旅行などのサービス消費がどう戻ってくるかが当面の注目点」と指摘。一方、世界的な半導体不足などによる供給制約、原油などの価格上昇の影響を挙げ「企業の設備投資や消費を下押しすることがないか、慎重に見ていきたい」と話した。
 このほかの項目では、個人消費はサービス消費への下押し圧力が強い状態が続いている。公共投資は高水準で推移し、設備投資は大型案件が寄与して増加。生産は電子部品・デバイスが高水準で推移するなど持ち直している。

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