【衆院選2021】神奈川の自民〝政権交代〟? 甘利氏側近重用に野党戸惑いとけん制

岸田政権で自民党幹事長に就任した甘利氏=1日、党本部

 岸田文雄政権発足に伴う自民党役員・閣僚人事が、衆院選での神奈川県内野党陣営の戦略に影響を及ぼしている。菅義偉前首相の政権では「菅グループ」が要職に起用されたが、岸田政権では甘利明党幹事長に近い議員が重用されたからだ。野党側からは戸惑いが漏れるものの、2氏の地元・神奈川で対決姿勢を強めている。

 「腐敗した政治を変えないといけない」

 公示前日の18日、立憲民主党の野田佳彦元首相の姿は小田原駅前にあった。岸田政権発足直後の衆院解散を「閣僚の名前も資質も分からない中、有権者が政策を吟味する時間を与えないのは民主主義の原則に反する」と指摘し、新閣僚の資質に疑問を投げ掛けた。

 野田氏が応援に駆け付けた神奈川17区では、届け出順に自民前職のデジタル相、立民元職、共産新人の3人が出馬している。自民前職は甘利氏と同じ麻生派に所属。これまで党内でデジタル政策の立案を甘利氏と主導してきており、岸田政権で当選3回ながら初入閣を果たした。野党陣営は「閣僚を相手にするのは初めてのこと。選挙戦にどう影響するか分からない」と戸惑いを隠さない。

 甘利氏側近重用の背景にあるのは、永田町で「神奈川の自民はまるで菅氏から甘利氏へと“政権交代”が起きたようだ」とささやかれる党内力学の変化だ。

© 株式会社神奈川新聞社