有終の「金」だ。体操の世界選手権(24日、北九州市立総合体育館)の女子種目別「床」で、東京五輪銅メダルの村上茉愛(25=日体クラブ)が現役ラストの演技で14・066点をマークし、2017年大会以来の金メダルに輝いた。
小学生から取り組んできたH難度のシリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)を冒頭で決め、ミスなくラストダンスを終えた。演技直後の採点では13・966点だったが、審判にビデオ判定で再確認を要求する「インクワイアリー(問い合わせ)」の制度を利用。これが認められてDスコア(演技価値点)が0・1点アップし、首位のアンゲリナ・メルニコワ(ロシア)を土壇場で逆転して有終の美を飾った。
今大会で21年間の現役生活にピリオド。一時は東京五輪を「集大成」と位置付けていたが、新型コロナウイルス禍で1年延期となり、世界体操の日本開催が決まったことで今大会を最後の舞台に選んだ。演技を終えると観客席の母・英子さんに手を振り、仲間と抱擁。涙ながらに「最終的に優勝できて、いい形で競技を終えることができた。皆さんの応援に助けられました。いろんな人の支えで強くなれた。感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。
第2の人生は白紙だが、かねて「お世話になった体操に恩返ししたい」と語っている。村上は「これからどんな形で自分が活躍するか分からないですが、何かいいものを見つけたら高みを目指して追究していきたい」と抱負を口にした。