伊勢原の小3女児、医療用ウィッグ用に髪の毛寄付 母と一緒にばっさり「喜んでくれるといいな」

ヘアドネーションに挑戦し、自らはさみを入れる阿部美春さん=伊勢原市伊勢原1丁目

 病気や事故で髪を失った子どもたちに医療用ウィッグ(かつら)を作るために髪を寄付する「ヘアドネーション」に、伊勢原市立大田小3年の阿部美春さん(9)と母の真由美さん(46)が初挑戦した。美春さんは5年間、真由美さんは3年間、伸ばしてきた髪を丁寧にカット。お姫様に憧れて伸ばしてきた美春さんは「髪に困っていた子が喜んでくれるといいな」と笑顔を見せる。

 21日午後5時ごろ、同市の美容室にやってきた美春さんは、緊張した様子で鏡の前に座った。ディズニー映画「塔の上のラプンツェル」に登場する、髪の長いヒロイン「ラプンツェル」に憧れて髪を伸ばし始めて5年。髪の長さは、身長約130センチに対して90センチと腰の下に届く長さになった。

 髪のケアには苦労が多い。シャンプーやトリートメント、乾燥は十分に時間を掛けた。トイレでは便座に付かないよう束ねるなど注意を払って伸ばしてきた。

 「長くて扱いが大変。そろそろ切りたい」。美春さんは昨年、真由美さんにそう告げた。自身も5年前に検討するも、長さが足りず断念したことがあった真由美さんは、美春さんにヘアドネーションを提案、「誰かの役に立てるなら」と同意したという。

 美容師が長さ60センチにそろえ8本の束をつくり、美春さんの髪にはさみを入れる。自らも2束をカットし「はさみが重くて緊張したけど、うまく切れた」とほっとした様子。髪の長さが31センチ以上あったことから真由美さんもヘアドネーションに挑戦できた。

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