駐車場で転んで男性けが 栃木県に97万円賠償命令 宇都宮地裁判決

宇都宮地裁

 県管理の駐車場の段差で転倒しけがをしたとして、東京都在住の男性(64)が栃木県に約550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、宇都宮地裁であった。浅岡千香子(あさおかちかこ)裁判長は「駐車場は通常有すべき安全性を欠き、管理に瑕疵(かし)があった」として、県に約97万円の支払いを命じた。

 男性は2017年5月、那須町湯本の那須ロープウェイ駐車場内で高さ約5センチのアスファルトの段差「ハンプ」につまずき転倒し、腕や肩をけがした。ハンプに気付かなかったとして、設置や管理の欠陥を訴えた。

 浅岡裁判長は、観光地の駐車場は気分の高揚などで注意力が散漫になるため、ハンプがあることへの周知が求められると指摘。ハンプが路面と同色だったことや「段差あり注意」の路面標示が薄れていたことから、注意喚起が不十分で安全性を欠いたと認定した。

 一方、暴走集団対策としての設置目的や駐車区画への設置には、合理性を認めた。通常の注意力で転倒回避は可能として、県の過失は2割にとどまるとした。

 下野新聞社の取材に対して県道路保全課は「判決内容を精査し控訴するかどうかを検討したい」とコメント。事故後、ハンプには色を付け、路面標示を再塗装したという。

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