長崎県内飲食店 「第三者認証制度」申請鈍化 第6波に備え 取得呼び掛け

店内の消毒液などを確認し、写真に収める調査員=長崎市、牛右衛門ミスターマックス店

 新型コロナウイルスの適切な感染防止対策に取り組む飲食店を第三者が認証する制度は長崎県内で6月に始まり、27日現在、3242店が申請し、2704店が認証を取得した。県内には約1万1千の飲食店があり、県は年内に8800店の認証を目指しているが、目標の約3割にとどまっている。今月は感染が落ち着いたことで申請も鈍化。県は「第6波に備えて今こそ取得を」と呼び掛ける。審査の様子やメリットを取材した。
 認証制度は安心して飲食店を利用してもらおうと、県などの自治体や業界団体などでつくる「ながさきコロナ対策飲食店認証実行委員会」が開始。飲食店が申請すると、県が委託した機関から調査員が来店。長崎大が監修した52項目などをチェックする。
 今月21日、長崎市岩見町のレストラン「牛右衛門ミスターマックス店」を訪れた調査員は、換気の目安を知るための二酸化炭素(CO2)測定機や非接触式の体温計、消毒液、パーティションなどの設置状況をチェック。続けて店内に控えていた同社幹部に▽ビュッフェ形式や大皿による料理の提供はないか▽1メートルの間隔が空けられない場合はパーティションを-など聞き取りと指導をした。約30分で全てのやりとりを終えると、「条件を満たしていました。認定通知書が数日で届きます」と笑顔で伝えた。
 8月6日の会見で中村法道知事は10日から飲食店に時短要請すると明らかにした。同時に、認証店は閉店時間とアルコール提供時間をそれぞれ1時間延長できるとの方針も示した。会見後、3連休を挟んだ週明けの10日、1日としては最多の172件の申請があった。
 牛右衛門の石井康男取締役統括部長は認証のメリットについて「第一にお客さまと従業員の安全・安心につながる」とし、「再び感染が拡大した際、1時間でも長く営業できるのはありがたい」と話す。同社が運営する県内14店舗は今月中に申請を終える予定だ。
 認証を今月取得した長崎市新地町の中華料理店「江山楼」。「独自に対策を講じてきた」という王文武取締役は「やってきたことが正しいかどうかを専門家に確認してもらえた。ただ取得したら終わりではなく、有効な対策は今後も取り入れたい」と感染への警戒を怠らない。
 県県民生活環境課によると、1日平均の申請数は感染が拡大した8月は35件に上ったが、10月は17件に減少。未申請の店からは「ワクチン接種が進めば不要」「常連しか来ないから大丈夫」「申請が面倒」などの声があるという。
 同課の担当者は「第6波が来るというのは多くの専門家の見解。今のうちに備えてほしい。可能な限り経済活動を停滞させないためにも有効な手段」と呼び掛ける。

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