対馬朝鮮通信使歴史館、開館 日韓友好の歴史未来へ

展示物について説明する町田館長=対馬朝鮮通信使歴史館

 江戸時代、朝鮮王朝が日本へ派遣した外交使節団「朝鮮通信使」の歴史や、通信使に関連する市民活動の歩みを伝える「対馬朝鮮通信使歴史館」が、30日に長崎県対馬市厳原町で開館するのを前に報道関係者向け内覧会が28日、現地であった。
 観光客誘致や郷土学習につなげようと、市が整備した。3階建てで1階部分が展示スペース。延べ床面積が約680平方メートル。総工費は約3億2千万円。
 所蔵資料は120点で、うち約50点を展示する。対馬藩で朝鮮外交に尽力した儒学者、雨森芳洲の肖像画のほか、通信使が日本へ渡る際に使った船の模型、通信使が持参した朝鮮国書のレプリカなどが並ぶ。
 このほか、2017年の朝鮮通信使関連資料の「ユネスコ世界の記憶」(世界記憶遺産)登録に尽力した民間団体の活動内容を紹介するパネルや、登録認定書の原本なども展示する。展示内容は随時入れ替えを図り、釜山の「朝鮮通信使歴史館」とは積極的な交流を進めるという。
 歴史館の町田一仁館長は「大人はもちろん、子どもにも来てもらい、国際的な視点を養ってもらえれば。通信使を通して日韓友好の歴史を未来につなぐ場所になってほしい」と話した。
 開館は30日午後1時から。観覧料は大人220円、小中高生110円。対馬市民は大人110円、小中高生は無料だが、30、31両日は大人も無料にする。15人以上は団体割引がある。

雨森芳洲の肖像画などが並ぶ展示室=対馬朝鮮通信使歴史館

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