若者が変われば…

 5年前、「分かるなあ」と思いながら聞いた意見がある。選挙権の年齢が18歳以上に引き下げられた時に、高校生がテレビの取材に答えていた。「考えのまとまらない自分が投票してもいいのかな」と▲政治が遠く思える自分が選挙で意思を示すなんて…。20歳そこそこの頃、そんな気後れを感じていたわが身と、テレビの青年を重ねて見ていた。昔も今もそう変わらない▲と思っていたら、今はやや様子が違う。菅田将暉(すだまさき)さんら俳優やミュージシャンが若者に投票を呼び掛ける動画を公開し、投票率の低い若い世代に「変化」を促している▲動画には印象的な“表明”もある。「まず意思を示さないと…」「その世代が軽んじられるってことだから。政治で」。若い世代を軽視させないためにも一票を。気後れしていても何も始まらないよ。そういうことだろう▲その時々の政治のありようが生活と直結することを、コロナ禍で痛感した人はきっと数多い。休校が続いた、バイトを失って貧しさが身に染みた…。若い世代も例外ではあるまい▲衆院選の投開票はあさってに迫る。投票は何も若者だけに促すことではないのだが、若い世代が変われば政治も変わるかもしれない、と往時の「考えのまとまらない」若者はおせっかいながら思う。一票を眠らせるのは惜しい。(徹)

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