【パラ競泳】引退発表した一ノ瀬メイ かつて語っていた夢「何かを発信できる人に」

一ノ瀬メイ(近畿大学提供)

水のプリセンスがプールから去る――。2016年リオデジャネイロパラリンピック競泳女子日本代表で7つの日本記録を持つ一ノ瀬メイ(24=近大職)が29日、大阪・東大阪市の同大キャンパスで引退会見を行い「すべての方々への感謝の思いにあふれています」と謝辞を述べた。

先天性の右前腕欠損症を患いながらも、1歳半から水泳人生をスタート。バレエやカップダンス、陸上にも取り組む活発な少女だった。13歳でパラ競泳の日本代表に初選出されると、14年アジア大会では、4個(銀2、銅2)のメダルを獲得。16年リオ大会には8種目に出場するなど、パラ競泳界のトップを走り続けてきた。

今後はかねて掲げてきた「社会から障がいをなくす」という目標を実現するべく、多方面で活動をしていく予定。詳細については「決まっていない」というが、かつてインタビューで「将来は人の前に立って何か発信したりできる人でいたい。まだまだ障がい者への偏見がなくなったわけではないし、まだまだ伝えたいことはたくさんある。障がいってものを知るきっかけ、理解するきっかけでいたいっていう気持ちはある」と語っていた。

さらに、環境問題についても「最近はエコに興味があるので、リサイクル素材を使っているお店から商品を買うとか、売り上げの一部を植林に使うお店を選ぶこととかを意識している。調理器具だったら、ラップの代わりにエコラップを使ったりとか、できるだけ使い捨てを減らしている」と話すなど、さまざまな事象に高い関心を抱いていた。

今夏の東京パラリンピックは盛り上がりを見せた一方で、障がい者理解や環境保全などの面でさまざまな課題が残されているのが現状だが、あるパラ競泳関係者は「一ノ瀬さんだったらどの分野でも活躍してくれると思う」と期待を寄せる。

どんな時も自らの足で道を切り開いてきた一ノ瀬。第二の人生へ、新たな一歩を踏み出した。

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