ジャンプを取り入れた練習で瞬発力、俊敏性を養いたい
楽天の球団記録となる通算625試合に登板した青山浩二さんは、今年から子どもたちに野球を教えるアカデミーコーチとして第2の人生を歩んでいる。First-Pitch編集部では指導者にプラスになる情報を送る「ひきだすヒミツ」を連載。小学3年生で野球を始めて、高校、大学を経てプロで15年。ジュニア世代に取り入れてほしい練習メニューを聞いた。【間淳】
昨シーズン限りで現役を引退した青山さんは今、自身の経験や知識を子どもたちに伝えている。園児や小学校低学年の児童には野球の楽しさを知ってもらい、小学校中学年や高学年、中学生には技術を高める喜びも感じてもらえるよう指導している。
子どもたちのうれしそうな表情や成長を見るのが、青山さんの楽しみの1つ。ただ、スクールに通うのは週1回の子どもが多いため「どうやったらうまく意図が伝わるのか。みんなに話しかけたいのですが、時間の使い方が難しいです」と日々、奮闘している。
スクールで指導できる時間が限られているため、青山さんは自宅や近所の公園などでできるトレーニングを提案している。まずは、ジャンプを取り入れた練習。ボックスを用意して、その上にジャンプする。最初は低いボックスで、少しずつ高いものに変えていく。こうした練習で瞬発力を鍛える。守備や走塁で大切になる1歩目の動きや俊敏性。さらに、投手ならリリースの瞬間、打者ならインパクトの瞬間に最大限の力を発揮する効果があるという。
インナーマッスルや体幹を強化する「プランク」
その他に勧めるのは「プランク」と呼ばれるトレーニング。インナーマッスルや体幹を強化するメニューだ。腕立て伏せの格好で両腕と肘は地面につける。この時に腰が反らないように、頭からお尻までを一直線にする。簡単そうに見えるが、正しい姿勢をキープするのは30秒でも大変だ。
青山さんは「体幹を強くして、上半身と下半身のつなぎ目を強化しないと連動しません。インナーマッスルや体幹の強化は球速アップや怪我の予防につながると思います」とトレーニングの狙いを説明する。ゴムのチューブを使い、時間をかけて大きい筋肉の中にある細かい筋肉を鍛える大切さも強調する。
次に、多くのチームの練習メニューに入っているダッシュ。短距離は瞬発力を高め、中距離は脚力だけではなく、体幹の強化にもなるという。短距離はスピードが決まる最初の5歩への意識を強く持つ。160~180メートルの中距離ダッシュで心がけるのは、広いストライドで一定のスピードを保つこと。頭の位置も動かないようにする。
どんなトレーニングをする時も大事なのは、どの筋肉を鍛えているのか把握すること。青山さんは「筋肉の名前を覚えると、鍛える時の意識が変わります。自分の体に興味を持つようにしてほしいですね」と語る。例えば、肩や肘を怪我した時、どの筋肉を強化するのか理解していると同じリハビリやトレーニングでも効果に差が出る。特別な器具や設備がなくても、技術を高め、怪我を防ぐ方法がある。(記事提供:First-Pitch編集部)
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