衆院選長崎 終盤情勢 1区 「注目区」票固め躍起

左から安江綾子候補、西岡秀子候補、初村滝一郎候補

 27日午後、長崎1区の国民民主前職、西岡秀子(57)は長崎市宝町から赤迫まで国道沿いを約5キロ歩いた。ポスターやのぼりを持つ女性3人と共に、バスや路面電車に手を振りながら。
 市中心部で演説などを繰り返した前半戦から一転、「より多くの市民に思いを伝えたい」という西岡の意向で、周辺部回りを増やした。選挙カーの運転手も女性。足取り軽い彼女たちに市民が声を掛ける様子を見ていた陣営関係者は「反応がいい」。
 この日、長崎新聞が世論調査で「西岡が依然先行」と報じると、陣営には逆に警戒感が広がった。夜の総決起集会は、県庁近くのプラタナス広場に支援者が詰め掛け、総合選対長の中村泰輔は「絶対に油断しないで」と叫んだ。支持固めを図ろうと電話で「最後のお願い」を続けている。
 同じ日の夕方、自民新人、初村滝一郎(42)の事務所に公明の支持団体幹部が「アポなし」で訪れた。公明関係者によると「九州の激戦区の激励の一環」。
 ただ長崎新聞などの世論調査では、公明支持層の5割強が西岡に流れていた。初村にとって、選挙協力する友党・公明の組織票は勝利に不可欠。疑いの目を団体幹部は「一生懸命やっています」とかわした。初村陣営関係者は「信じてやっていく」。
 同じころ、初村は演説会場にいた。応援弁士の前首相、菅義偉に続き登壇し「必ず追い越す。絶対に負けられないんです」。感情を高ぶらせ、かすれ声で叫ぶと、涙ぐむ聴衆も。「ようやく懸命さが伝わり始めた」と陣営幹部。「大逆転へ、余力を残さず訴え続けるだけだ」
 共産新人の安江綾子(44)は地道に演説を繰り返す。ジェンダー平等の社会に向け「男女賃金格差の実態を企業に公表させ是正する。(自民は)財界、大企業の言いなりだからできない」と政権交代の必要性を訴える。=敬称略=

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