部員100人超の中学野球チームに対する不安 指導者の目は行き届いているのか?

部員が130人を超えるチームの実態とは

部員100人超のチーム指導者が語る選手との向き合い

First-Pitch編集部では野球に関わる人たちの疑問解決のヒントを届けていきます。「First-Pitchコーチ」と題し、取材に基づいた参考例を紹介します。今回はメンバー100人超のチームの現実です。現場ではどのような指導が行われているのか。あるチームには明確な目標設定、指導者と選手の対話がしっかりとありました。

子どもを入れたいけど、部員が多いから心配。指導者の目が行き届いているのだろうか……。そんな心配をしたことのある保護者の方もいるのではないでしょうか。部員が130人を超える関東のある中学ボーイズ野球チームの話を紹介します。

レギュラーでないある選手は、かねてより行きたい有名高校がありました。監督はこのように声をかけていました。

「その高校を第1目標に、持ち味の守備力を伸ばしながら、打撃の弱い点を補っていこう。ただ、そこに届かなくても勧めたい別の高校もあるから、ダメだった時のことは考えず頑張ろう」

選手の目標の“尊重”と代替案の“提案”を行っていました。選手とその保護者、監督と会長の四者面談が定期的に行われ、今後、どのように成長したいか、どの高校に行きたいのかを明確にし、個人の目標設定をしてそれに向かって取り組みはじめました。

その後、彼は目標が明確になったことで、練習の取り組みが変わりました。これまでは、控え選手であることに負い目を感じて、ノックや打撃の時はいつも誰かの後ろにいましたが、積極的に前に出てくるようになりました。「それじゃ、○○高校にいけねぇぞ!」と監督に発破をかけられると呼応するように覇気で返し、チーム全体の活気にもつながっていきました。

見事に希望の学校に進学、その後も大好きな野球を続ける

そして、見事に目標とする高校への進学を決めたのですが、決め手となったのは「取り組みから見える伸びしろ」だったそうです。選手は「監督がレギュラーでもない自分と向き合う時間を作ってくれたので、自分がどんなレベルか知ることができて頑張れました」と引退時に話していたといいます。

設定する目標は、「今日はこのメニューを100回やります!」という簡単なものから、「来月までに体重を5キロ増やします」「半年後に球速130キロを投げます」というハードルが高いものまで、期間に応じて様々です。その際に必ず指導者は、目標を設定した意図を聞いていました。目標に取り組む意味や、その結果が自分にどういう影響を与えるかを分かっていないと「ただこなすだけ」になってしまい、モチベーションの低下を招くからだそうです。

子どもたちと「目標設定」と「対話」を行い、日々の生活からモチベーションを高めることが大切と言えそうです。(記事提供:First-Pitch編集部)

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