五島の奇祭 鬼の「サンドーラ」が砂を投げ付け歩く 町民泣き笑い

サンドーラから砂を掛けられる子ども=五島市玉之浦町

 「サンドーラ」と呼ばれる鬼が、見物人に砂を投げ付けながら練り歩く奇祭「大宝郷の砂(ずな)打ち」(国選択無形民俗文化財)が30日、長崎県五島市玉之浦町大宝であった。
 豊作や大漁、無病息災、疫病退散を祈願する地元の言代主(ことしろぬし)神社の秋祭り。サンドーラから砂を投げ付けられると、災厄が払われるとされる。
 笛や太鼓の音色が響く中、獅子や農民に扮(ふん)した人たちの行列が集落を練り歩き、途中で農作業の様子を再現。円形のわらぶた(桟俵(さんだわら))を頭にかぶり、顔や手足に墨を塗ったサンドーラは列を離れて、沿道の人たちに砂を投げ付けたり、頭の上から掛けたりした。
 逃げ惑う子どもたちもいて、辺りは泣き声や笑い声に包まれた。近藤泰廣郷長は「住民が健康に生活し、新型コロナウイルスが早く収束してほしい」と願いを込めた。

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