ラーダがひさびさの世界戦復帰。2台の『ベスタ・スポーツTCR』でWTCR最終戦ソチに参戦へ

 ロシア発のマニュファクチャラー、AvtoVAZ(アウトヴァズ)傘下のラーダブランドで長年ツーリングカー・シリーズを戦っているラーダ・スポーツ・ロスネフチは、2021年WTCR世界ツーリングカー・カップの新たな最終戦に指定された11月27~28日のソチ・オートドロームでの1戦に向け、2台の『ベスタ・スポーツTCR』投入を発表。現在、地元シリーズでレギュラーを務めるキリル・レディギンとミハイル・ミティエフがワイルドカード参戦を果たすことが決まった。

 2021年もTCRロシア・シリーズに参戦中で、2年連続のタイトル獲得を決めたばかりのラーダ・スポーツ・ロスネフチは、2021年にも3勝を挙げた元世界戦経験者のレディギンと、国際選手権初挑戦のミティエフとともに、ブランドとしてもひさびさのトップカテゴリー参戦を決めた。

 そのレディギンは、まだ現在の選手権がその前身となるWTCC世界ツーリングカー選手権として開催されていた2008年と2009年には、ロシアン・ベアーズ・モータースポーツに所属して世界選手権を戦った経歴を持つ。

「そう、僕が世界選手権を戦ったのはもう12年も前のことだ。もちろん、その場所に戻れるのが決まったことに今はワクワクしているよ」と語ったロシア・ブランド黎明期のエース。

「でもWTCRでは、僕らがこれまで扱った経験のないグッドイヤー製のワンメイクタイヤ(TCRロシアはヨコハマタイヤが供給)など、チームや僕らを待つ未知のファクターが数多く存在する。さらに僕らのベスタ・スポーツTCRは周囲のライバルに比べて重いBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)重量が課せられ、ソチの長いストレートスピードに大きく影響を及ぼすだろうね」と続けるTCRロシアの2021年シリーズチャンピオンを獲得したばかりのレディギン。

「でも僕らの側では、WTCRレギュラーのみんなが持っていないソチ・オートドロームのトラックに関する詳細な知識とデータがある。10月最終週のTCRロシア最終戦はまさにそのソチで開催され、僕もチャンピオンを獲得することができた。その蓄積を活用して地元ロシアのファンを喜ばせ、WTCRの週末を楽しむために最善を尽くしたいと思っているよ」

 現在、ロシア・シリーズに参戦するラーダ・スポーツ・ロスネフチのチーム代表を務めるヴラディスラフ・ネズヴァンキンも「このニュースを発表できて、チーム全体としてとてもうれしい」と世界戦チャレンジへの意欲を示した。

「WTCRロシア戦のイベントに参加する機会を得られてとても光栄に思っている。明らかに、これは我々のチームとファンの双方にとって素晴らしいニュースだからね」と、喜びを語った自身も元ドライバーであるネズヴァンキン代表。

「サーキットに訪れた観客やTV視聴者は、世界最高峰のツーリングカーレーサーに対して、ロシア製のマシンをドライブするロシア人パイロットを応援する機会があるんだからね。このワイルドカード参戦により、ドライバーとチーム全体が貴重な経験を積み、さらに強くなることができると考えているよ」

2021年もTCRロシア・シリーズに参戦中で、2年連続のタイトル獲得を決めたばかりのLada Sport Rosneftチーム
地元シリーズでレギュラーを務めるキリル・レディギン(左)とミハイル・ミティエフがワイルドカード参戦を果たす
TCRロシア最終戦では、ミハイル・ミティエフがレース1で勝利。このヒートでキリル・レディギンがタイトル獲得を決めている
2008年に『ラーダ100 2.0』(後方)で世界戦にチャレンジを開始し、翌2009年には『プリオラ』を投入。休止期間を経て2013年にはTC1時代のWTCCを戦った

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