チームとは違う野球塾、一体何を学べるの? 元プロが教えている「考える力」

お笑いコンビTIMのレッド吉田さん【写真:高木希】

浦和学院時代に夏の甲子園で19三振を奪った元燕右腕・坂元弥太郎さんは野球塾で指導

甲子園出場経験を持つお笑いコンビ「TIM」のレッド吉田さんは、小学5年生の三男・運(めぐる)くんがプロ野球選手になるには「考える力」が大切だと感じている。連載「レッド吉田の“巡る”野球界」の8回目のテーマは、運くんが通っている元ヤクルト・坂元弥太郎さんの野球塾。考える力を養う指導方針を掲げている。

◇◇◇◇◇◇◇

前回の連載でお話しましたが、技術を高めるには「考える力が欠かせない」と感じています。そうは言っても、小学生が自分で考えながら練習するのは簡単ではありません。きっかけやヒントが必要です。そこで、誰の練習方法がいいのかを考えた時に、僕の頭に浮かんだのは元ヤクルト・坂元弥太郎さんの野球塾でした。

以前、YouTubeの撮影で弥太郎さんの塾に参加させていただきました。弥太郎さんは子どもたち自身に考えさせる指導方針で「高校に入ったら壁が来るが、人に教えられて育った子は負ける。壁を乗り越えるには、自分で考える力が身に付いている子ども」と話していました。

弥太郎さんは2000年の甲子園、浦和学院(埼玉)で1試合19奪三振をマークしています。なので塾に行ったら、ピッチングを教えてもらえるかなと思っていたのですが「教えはしないです」と言われました。「股関節をどう動かすとどうなるのか、肩甲骨をどう使えばどうなるのかというトレーニングはします」ということでした。トレーニングを通じて、股関節や肩甲骨をどのように動かしたら、力が出るのかを子どもたちに考えさせるんです。

メニューは厳しい…でも野球を嫌いになってほしくない葛藤

最初に運が弥太郎さんの塾に参加した時、すごく大変そうでした。ラダーやミニハードルを使った練習メニューがあるのですが、運はやったことがないのでうまくできません。年下の小学2、3年生は練習についていっています。弥太郎さんが「もう1回」と運に声を掛けるんですが、懇切丁寧には教えません。見てまねをする、自分で掴むよう促す指導です。どんな指導者でも教えられる限界があるので、自分で考えさせるやり方はいいなと思いながら、運が頑張る姿を見ています。

弥太郎さんの塾に入るまでには、運なりの覚悟がありました。周りの子どもたちもプロ野球選手になる気持ちで練習しているので、メニューは厳しいです。初めて体験させてもらった翌日、運はボロボロで「体が動かない」と言っていました。それに、塾は埼玉県の所沢にあります。自宅がある都内からは、それなりの距離です。午後8時くらいまで練習するので、帰宅する頃にはクタクタになります。運も弥太郎さんのところに行けばうまくなるという思いはありながら、厳しい練習に耐えられるのか葛藤していました。

僕は通ってほしいなと思いながら、運に「弥太郎さんのところに行くか? お前の意思を尊重する。火曜と金曜の週2回だけど」と聞きました。運は考え込みました。僕は運に野球を嫌いになってほしくないので「嫌なら行かなくていいよ」と言いました。ただ、今やっている学童と2人でやっている朝練だけでは、能力はそこまで上がらないかもしれないと伝えました。負けず嫌いの運は、うなりながら考えます。そして「週1回行こうかな」と答えたんです。まずは週1回から始めて、慣れてきたら週2回にすると決まりました。

6年生が終わるまで、弥太郎さんのところで楽しみながら覚悟を持ってやっていくつもりです。練習を終えて自宅に帰る車の中で、運は「きつかったー」とヘロヘロです。そんな運に僕は「絶対に力になるから、信じて頑張ろう」と声をかけながらハンドルを握っています。

○プロフィール
レッド吉田 1965年10月30日生まれ、京都府出身。名門・東山高(京都)で1983年夏の甲子園に出場する。ゴルゴ松本とともにお笑いコンビ・TIMを結成し、バラエティ番組で人気に。野球が大好きで、5児の父としても奮闘中。三男・運(めぐる)くんをプロ野球選手にするために立ち上げたYouTubeチャンネル「レッド吉田の野球子育て奮闘記~めぐる巨人への道~」を開設中。(Full-Count編集部)

「まるでおかわり君」な小学5年生 元プロも絶賛、目を疑うような衝撃打球

ジャイアンツJr.に女子で初選出 最速114キロのスーパー小学生が描く未来図

© 株式会社Creative2