コロナとインフル同時流行に警戒 重複感染で重症・長期化 長崎大など研究

 長崎大感染症共同研究拠点などでつくる研究グループが、新型コロナウイルスとインフルエンザの重複感染によって、肺炎の重症化や長期化につながる恐れがあるという研究成果をまとめた。新型コロナが完全には収束していない中、インフルエンザの流行期を迎えるため、「同時流行」に警戒するよう呼び掛けている。
 10月28日、英オンライン学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」に論文が掲載された。
 インフルエンザ患者数が昨季激減した理由として、世界的な人・物の移動制限やマスク着用など新型コロナ対策が奏功したとの見方がある。特定のウイルスに感染すると、ほかのウイルスの感染・増殖が抑制される「ウイルス干渉」を理由に挙げる専門家もいるという。
 同研究拠点の木下貴明研究員と安田二朗教授らは、同一個体に新型コロナとインフルエンザが同時に感染する可能性があるのか、病態はどうなるのかをハムスターを使って検証。その結果、同時感染が起こり、単独感染時よりも肺炎が重症化し、回復が遅れることが明らかになった。
 肺の同じ場所では同時に感染しなかったことから、ウイルス干渉は個体・臓器レベルではなく、細胞レベルで起きると分析した。ウイルス量は単独と重複の場合で差はなかった。
 研究グループは「こうした結果は両ウイルスの重複感染と同時流行は起こり得ることを示唆している」とし、対策の必要性を訴える。共同研究のメンバーはほかに長崎大原爆後障害医療研究所の西弘大助教、帯広畜産大の渡邉謙一助教。

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