枝野氏辞任へ

 〈君は君らしく生きていく自由があるんだ/YESでいいのか〉-立憲民主党の枝野幸男代表がアイドルグループ「欅坂46」の熱心なファンであることはよく知られている。歌詞を引いた代表曲「サイレントマジョリティー」もきっと愛唱曲の一つだ▲NOと言いなよ-基本政策の違いを超えて、広範な共闘で臨んだ衆院選、野党側が“束になって挑む”ことの可能性を示したのは確かだ。接戦区が増えた。しかし、自民党の「底力」に屈し、立憲民主は議席を減らした▲その底力はしばしば「組織力」と説明される。ただ、それが本質を言い当てているかどうかは疑わしい、と考えている。もしも誰かの号令や指示で票が動くのだとしたら、毎度毎度の低投票率は説明がつかない▲底力の背景には自民党の国会議員やそれを支える地方議員が積み上げてきた「握手の回数」や選挙区を歩いた「歩数」がありそうに思う。その素朴な積み重ねの熱が最後にものを言う▲選挙結果を巡る世論調査の記事が紙面にある。与党の絶対安定多数獲得には半数近くが首をかしげ「野党がもっと議席を」の声は4割を超えた▲与野党伯仲を望む“声なき声”を形にできず、枝野氏は党代表の座を去る。釈迦に説法を承知で書く。この党に足りないのは何か-徹底した議論が必要だ。(智)

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