神奈川県内の倒産件数、21カ月ぶり前年上回る 長期不振で息切れ

 東京商工リサーチ横浜支店が4日発表した10月の神奈川県内企業倒産状況によると、倒産件数は前年同月比11.1%増の40件、負債総額(1千万円以上)は40.1%減の35億6200万円だった。倒産件数は2020年2月以降、前年を下回る状況が続いていたが、反転して21カ月ぶりに前年を上回った。

 ただ、政府の資金繰り支援策が奏功し、倒産件数は依然、低水準で推移。大型倒産(負債10億円以上)がなく、小規模の倒産が中心だったため、負債総額は平成以降、10月としては最少となった。新型コロナウイルス感染拡大に関連する倒産は40件中、8件だった。

 原因別では、赤字累積などによる「既往のシワ寄せ」が最多の19件。次いで「販売不振」が15件だった。長期にわたる業績不振で累積赤字を抱え、息切れして倒産するケースがここへ来て目立っているという。

 産業別では、「建設業」と、飲食業を含む「サービス業他」がそれぞれ12件で最多。「小売業」4件、「製造業」「卸売業」「運輸業」各3件などと続いた。地域別では、横浜市の22件が最も多かった。

 同支店の担当者は「既に限界に近い借り入れを実施している企業は、経済活動の再開に伴う新たな資金調達が困難となってきていると聞く。年末年始にかけて、倒産件数が増加していく可能性がある」と指摘している。

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