【追う!マイ・カナガワ】衆院選の結果 7割近く「満足していない」

 10月31日に投開票された衆院選の結果を受け、神奈川新聞「追う! マイ・カナガワ」取材班は「マイカナ友だち」を対象にアンケートを実施した。自民党が絶対安定多数を確保し、野党第一党の立憲民主党が後退した結果に、新型コロナウイルス対策や経済対策の継続を期待する声が上がる一方、「安倍・菅政権の踏襲が続くだけ」「森友や桜の会問題がうやむやに」といった懸念も。また、共闘が不発に終わった野党への不満も目立った。

◆継続期待も踏襲不安

 アンケートは1~4日に実施し、366人が回答した。

 自民が公示前から15議席減らしたものの、国会運営を主導できる「絶対安定多数」の261議席を単独で確保し、公明党と合わせ与党で計293議席となった結果について、計252人が「どちらかといえば」を含めて「満足していない」と答え、「どちらかといえば」を含めた「満足している」は計90人だった。

 「どちらかといえば満足している」と答えた横浜市磯子区の介護職の女性(26)は「コロナ対策をしている中、政権交代があると1からやり直すのでは。政治のぐらつきや情報発信が今まで通りいかなくなり、国民を不安にさせると思うと現状維持しかない」と吐露。「満足している」と答えた同市南区の大学生の男性(21)も「政権交代しても今の野党が運営していけるとは思わないが、自民が安心しきって働かなくなると困る。自民も議席を減らしたという緊張感を与えることができて良かった」と受け止めた。

 「満足していない」と答えた横須賀市の主婦(68)は「岸田さんは改革のトーンが急速に下がり、安倍、麻生の2人に忖度(そんたく)し、森友や桜の会問題もうやむやになると思うとやりきれない」と落胆する。「維新を含めれば(国会発議に必要な)3分の2を超えることになり、憲法改正が本格的になることを危惧する」(横浜市保土ケ谷区の48歳の地方公務員男性)と憲法改正への動きを警戒する意見もあった。

◆野党への不満も目立つ

 自民党が単独過半数を維持した要因を尋ねた質問では「野党への不満が多かった」(191人)と「自民党しか選択肢がなかった」(173人)が上位を占め、「岸田首相への期待」は71人、「公約への共感や支持」は23人だった。投票で重視したテーマは「新型コロナ対策」が最多の159人で、「自公と野党の政権選択」が143人、「経済対策」が141人と続いた。

 今回の衆院選では立憲民主や共産など野党5党が共闘したが、立民は議席を減らして枝野幸男代表が辞任を表明。野党全体で大きく票を伸ばせなかった要因を聞いた質問では、野党共闘は「効果がなかった」が135人、「一定の効果があった」が118人と意見が割れた。

 ◇

 アンケートはLINE登録したマイカナ友だちを対象に実施。無作為抽出の世論調査とは異なる。

◆甘利、松本氏に厳しい声

 県内では、自民・甘利明幹事長(13区)が小選挙区で敗れて幹事長を辞任、無所属で出馬した松本純元国家公安委員長(1区)は落選した。金銭授受問題や銀座クラブ問題が影響したとみられる結果についてアンケートで尋ねたところ、「当然だ」「正しい判断」と厳しい声が相次いだ。

 横浜市南区の銀行員の男性(46)は「自民党の古い体質への嫌悪感がついに投票行動に表れた。コロナを経て、有権者も世間の感覚とのずれへの目線が厳しくなった」。相模原市緑区の40代の男性会社員も「甘利さんはみそぎは済んだと言うが、疑惑が生まれたならきっちり説明が必要。松本さんは無所属なのに自民党の応援が何人も入っていた。結局悪いと思っていない。こういった行動が一般人には不可解」と批判した。

 小選挙区で落選した甘利氏は、比例で復活当選した。川崎市高津区の50代のパート女性は「選挙区で支持されなかった人が、比例復活で当選とはどう考えてもおかしい。選挙制度を見直すべき」と制度への不満もこぼした。

© 株式会社神奈川新聞社