キリンの”ふん”が着火剤に 長崎バイオパーク 東京のアウトドアブランドに提供

キリンのふんで作った着火剤(下)と、木の葉を食べるキリンのニック(雄、10歳)=西海市西彼町、長崎バイオパーク

 長崎バイオパーク(長崎県西海市)の2頭のキリンのふんを原料にした着火剤を東京のアウトドアブランドが商品化。園内の売店で10月、販売を始めた。物珍しさやキャンプブームも手伝ってか、担当者は「想定以上の売り上げ」と喜んでいる。
 牛ふんがインドで煮炊きや車の燃料に活用されていることに着目したMAAGZ(マーグズ・八王子市)が開発した。同社は7月に牛ふんや間伐材を原料にした「ANIMAL LIGHTER/うんちの着火剤」を販売しており、キリンは第2弾。
 バイオパークでは約200種、約2千の生きものが暮らしている。1日の排出物の量は約1トンあり、多くは堆肥の材料になる。今春、ふんの仕入れ先を探していたマーグズに「新たな使い道になれば」と提供した。同園によると草食動物のふんは肉食よりも臭いが少ない。完成した着火剤に不快な臭いはなく、干し草のような香りがする。同社は今後、同園のラマ、マレーバク、レッサーパンダのふんを使ったものも商品化する予定。
 着火剤は燃焼時間6分のSサイズ、7個入りで900円からと、市販品よりも高価だが、売り上げの一部は同社を通じ、日本動物園水族館協会に寄付。動物の保護活動に充てられる。
 マーグズの開発担当者は「例えば家族や仲間とのたき火に使うことで、同じ星で暮らす動物について、一緒に語り合うきっかけになれば」と話している。

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