〈新人激突の軌跡 上越市長選、市議補選〉4・新市政 期待と懸念が交錯  宮越氏との関わり注目

 上越市長選で元市議の中川幹太氏(46)が初当選を果たし、新たな市政が船出する。上越市となってから最年少での市長就任。「現場主義」「特定の業界と既得権益によるしがらみを持たない」政治をモットーとする若い力への期待感の一方で、今後の市政運営の課題を指摘する声も上がる。

 10月8日に政策協定を結んだ元市長で現市議の宮越馨氏(80)との今後の関わりには、特に関心が強まっている。前哨戦や選挙戦期間中、対立候補(野澤朗氏)の陣営は政策協定を批判。「(政策協定は)野合でしかない」「最大のしがらみだ」「若い力が削がれた」などと訴え続けた。

宮越氏(右)と当選の喜びを分かち合う中川氏(10月31日夜、上越市西本町1の選対事務所)

 中川氏は市長就任後、市職員や退職者から抜てきする副市長を「最終的に4人配置」するとともに、民間の有識者らによる諮問委員会を立ち上げる考えだが、そのどちらにも宮越氏を起用しないことを明言。「権力のある立場ではなく、あくまでアドバイスしていただくということ」と強調する。

 市議会には、まずは〝少数与党〟で臨むことになりそうだ。野澤氏の選挙活動を支えた「支援議員団」には、8割近い市議が名を連ねた。野澤氏の選対本部長を務めた元市議会議長の内山米六氏は開票結果が出た後、集まった市議に「今後、(中川氏の)政策や予算の執行には議員の監視が必要」と呼び掛けた。

 一方の中川氏は、選挙後の〝ノーサイド〟を主張。「『敵か味方か』ではない。信頼関係を持ちながら進めていきたい」と歩み寄る姿勢で〝オール上越〟を呼び掛ける。

 政策公約では、独自の予算編成など「地域が主役の自治」、歴史文化を生かした「通年観光」などを掲げてきた中川氏。9日の初登庁以降、市職員、そして市民に向けて何を語るか注目される。

© 株式会社上越タイムス社