「伊王島灯台」初点灯から150年 夜間の内部初公開 長崎海保がイベント

夜間に初めて公開された灯台内部。巨大なレンズに市民らは「まぶしい」と声を上げていた=長崎市伊王島町、伊王島灯台

 長崎港に出入りする船舶の道しるべとなっている「伊王島灯台」は1871年に初点灯した九州初の西洋式灯台。長崎海上保安部は3日、1日の「灯台記念日」に合わせ、150周年を迎えた同灯台などをライトアップし、夜間の灯台の内部を市民に公開した。どちらも初めての試み。内部を見学した市民らは水平線に放つ光に目を輝かせた。
 長崎海保によると、同灯台は1866年に江戸幕府が英仏蘭米の4カ国との間で締結した改税約書(江戸条約)に基づいて建設された。現在の灯台は3代目。初代は六角形だったが、1945年に原爆の爆風で損傷を受け、54年に四角形に改築。2003年に六角形に復元した。ドーム型の天井は、初代から引き次いで使用している。鉄筋コンクリート造で高さ約11メートル。
 海に向かって光を放つ「レンズ」は、ガラスでできたレンズを重ね合わせ、光を一点に集めており、約38キロ先まで照らしている。回転することで、海からは30秒間に4回点灯しているように見える。灯台の光が、安全な航海の物差しになっている。
 1914年にフランスで造られ、長崎海保が定期的に点検している。通常は安全面などを考慮して、日中も含めて公開していない。
 3日は午後5時半から約1時間、灯台内部を公開した。レンズを間近で見学した市民らは「まぶしい」と声を上げながら、スマートフォンなどで記念撮影していた。義母と1歳の息子と3人で訪れた西彼長与町の主婦、谷口亜希さん(40)は「きれいな光だった。子どもたちと見られて良かった」とほほ笑んだ。イベントには約350人が訪れた。

初点灯から150年を記念してライトアップされた伊王島灯台=長崎市伊王島町

© 株式会社長崎新聞社