エチェバリアに痛恨被弾はやむなし? 専門家断言「そりゃ真っすぐで行きますって」

楽天の松井裕樹(左)とロッテのアデイニー・エチェバリア【写真:荒川祐史】

楽天バッテリーは8回に同点ソロを被弾、野口寿浩氏「配球は間違いではない」

■ロッテ 5ー4 楽天(CSファースト・6日・ZOZOマリン)

【動画】ここが勝負の分岐点 野口寿浩氏が注目したロッテ・エチェバリアの豪快弾映像

パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第1戦が6日、ZOZOマリンスタジアムで行われ、レギュラーシーズン2位のロッテが3位の楽天に5-4でサヨナラ勝ちした。早くも土俵際に追い込まれた楽天に、巻き返しの余地は残されているのか。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析した。

目まぐるしい展開だった。楽天は2点を追う7回、2死満塁から4番の島内宏明外野手が右中間を破る走者一掃の3点二塁打を放ち、一気に逆転。8回には、右太ももの故障が癒えた松井裕樹投手が8月20日以来の1軍登板を果たし、快調に2死を取ったが、途中出場のアデイニー・エチェバリア内野手に左翼席中段へ同点ソロを被弾した。エチェバリアは来日1年目の今季、79試合出場で打率.203、4本塁打。遊撃の名手だが、打撃は低調に終わっていた。

レギュラーシーズン下位の楽天は、3回戦制のファーストステージで勝ち越せなければ敗退。引き分けは限りなく負けに等しい。それだけに、この1発は痛恨だった。結局、同点のまま迎えた9回、宋家豪投手が1死二塁から代打・佐藤都志也捕手にサヨナラ二塁打を浴び、なおさら追い込まれた。

野口氏は「ロッテにとってはエチェバリア様様ですが、楽天バッテリーにとってあの1発は、ほとんど出合い頭。初球は外角高めの151キロのストレートに全くタイミングが合わず空振りしていました。2球目に、やや甘くなったストレートを打たれたわけですが、初球の様子を見れば、そりゃストレートで行きますって。配球は間違いではないと思います。エチェバリアの修正能力を褒めるしかないでしょう」と見た。

楽天・浅村栄斗【写真:荒川祐史】

ロッテは国吉乱調も「そういうことが起こることも織り込み済みの投手」

むしろ、こうした試合展開を作ったのは、先発の則本昂大投手の4回3失点KOだった。1点リードの3回、1死満塁からブランドン・レアード内野手に甘く入ったカットボールを逆転2点適時打され、続く安田尚憲内野手にも左犠飛を許した。野口氏は「制球がいまひとつで、カットボールが真ん中高めへ抜けるケースが多かった」と指摘。「全体的に変化球の割合が多かったですね。ブルペンでストレートが走っていないと判断したのかもしれませんが、それにしても、もう少し強い真っすぐで押してよかったのではないか。それが則本の持ち味ですから」と配球を惜しんだ。

第2戦以降は連勝するしかなくなった楽天。野口氏は「ここから勝ち上がるには、打線が奮起するしかない」と断言する。この日は4点を奪ったとはいえ、その中身は相手のエラーによる1点と、ワンチャンスでの島内の3点二塁打だけ。3番の浅村栄斗内野手は4打数無安打3三振1四球。5番の鈴木大地内野手も4打数無安打だった。「もともと足を高く上げてタイミングを取る浅村は、いったんスランプに陥ると長い。現状を見ると心配です」と野口氏は言う。

一方、ロッテは2点リードの7回に登板した国吉佑樹投手が3四球の大乱調。2死満塁のピンチを作り、急きょ登板した唐川侑己投手が島内に逆転打を浴びた。“勝利の方程式”の一角を担ってきた国吉は誤算だった。とはいえ、野口氏は「国吉は、たまにああいうことが起こることも織り込み済みの投手です。逆に、第2戦で同じような場面で起用すれば、何事もなかったかのように抑えるかもしれない。そういうタイプです。井口(資仁)監督や吉井(理人)投手コーチも、おそらく同じ場面で使うと思います」と分析。「起用法を考え直すのは、2試合続けてやられた時でいい。この日は緊急登板となった唐川も、2度目は万全の準備をするでしょう」と付け加えた。

追い込まれた楽天に対し、ロッテには選手起用の面でも余裕が生まれたが、白熱する短期決戦の一投一打からは目が離せない。

【動画】ここが勝負の分岐点 野口寿浩氏が注目したロッテ・エチェバリアの豪快弾映像

ここが勝負の分岐点 野口寿浩氏が注目したロッテ・エチェバリアの豪快弾映像【動画:パーソル パリーグTV】 signature

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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