小説の舞台にもなった相模原の寺院「峯(みね)の薬師」 観光用トイレ改修へ 市民2人が寄付

改修が決まった「峯の薬師」の観光用トイレ=相模原市緑区(同区提供)

 小説の舞台にもなった相模原市緑区三井の寺院「峯(みね)の薬師」の観光用トイレが新しく生まれ変わることになった。同寺院はハイキングコース沿いにあり多くの観光客が訪れるが、老朽化したトイレは閑散。10月、地元市民2人が「観光客が立ち寄れるように改修してほしい」と管理する市に計660万円を寄付。10月下旬から工事を行い、来年3月に完成する。

 峯の薬師は富田常雄の長編小説「姿三四郎」の決闘の舞台にもなったことで知られる。津久井湖や丹沢山地を展望できる山中に位置し、「関東ふれあいの道」コースにもなっている。

 トイレは旧津久井町が1983年に建設し、現在は市が「観光用」として管理する。しかし、便器は和式のくみ取り式で外観も老朽化していることから、使用する人は少ないという。

 ロータリークラブのメンバーとして寺院で10年ほど植樹活動を続けてきた西迫洋美さん(79)は「地元の人も使用をためらうので、観光客はなおさらではと感じた」と話す。

 クラブ仲間の高城正勝さん(77)に改修を相談したところ、高城さんも「地元で生まれ育った人間として協力したい」と賛同。寺院の承諾も得られたことから、10月に2人で改修費用660万円を市に寄付した。

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