QO選手の移籍によって発生するドラフト指名権の補償・喪失まとめ

日本時間11月8日、メジャーリーグはFA選手に対するクオリファイング・オファーの提示期限を迎え、今オフは14選手が同オファーの提示を受けた。同オファーを提示されなかった有力選手は、クレイトン・カーショウ(今季ドジャース)、カルロス・ロドン(今季ホワイトソックス)、アビサイル・ガルシア(今季ブリュワーズ)といった面々。なお、同オファーを拒否した選手が他球団と契約した場合、来年のドラフトにおける指名権の補償や喪失が発生するが、ここではその制度を解説する。

◆QO選手を失ったチームが得られる補償指名権

【1】収益分配金を受け取っているチーム(=市場規模の小さいチーム)からのクオリファイング・オファーを拒否した選手が他球団と「総額5000万ドル以上」で契約した場合、来年のドラフトで1巡目と戦力均衡ラウンドAのあと(=2巡目の前)に補償指名権を得る。「総額5000万ドル未満」で契約した場合は、2巡目と戦力均衡ラウンドBのあと(=3巡目の前)の指名権となる。該当するのはブリュワーズ、ダイヤモンドバックス、ガーディアンズ、マリナーズ、マーリンズ、オリオールズ、パイレーツ、レイズ、レッズ、ロッキーズ、ロイヤルズ、タイガース、ツインズの13球団。

【2】収益分配金を受け取っておらず、ぜいたく税を支払っていないチームからのクオリファイング・オファーを拒否した選手が他球団と契約した場合、「契約規模にかかわらず」戦力均衡ラウンドBのあとに補償指名権を得る。該当するのはエンゼルス、アストロズ、アスレチックス、ブルージェイズ、ブレーブス、カージナルス、カブス、ジャイアンツ、メッツ、ナショナルズ、フィリーズ、レンジャーズ、レッドソックス、ホワイトソックス、ヤンキースの15球団。

【3】ぜいたく税を支払っているチームからのクオリファイング・オファーを拒否した選手が他球団と契約した場合、「契約規模にかかわらず」4巡目のあとに補償指名権を得る。該当するのはドジャースとパドレスの2球団。

◆QO選手を獲得したチームが喪失する指名権

【1】収益分配金を受け取っているチームが他球団のクオリファイング・オファー拒否選手を獲得した場合、来年のドラフトにおける3番目に高い順位の指名権を失う。2人目を獲得した場合は4番目に高い順位の指名権も失う。該当するのはブリュワーズ、ダイヤモンドバックス、ガーディアンズ、マリナーズ、マーリンズ、オリオールズ、パイレーツ、レイズ、レッズ、ロッキーズ、ロイヤルズ、タイガース、ツインズの13球団。

【2】収益分配金を受け取っておらず、ぜいたく税を支払っていないチームが他球団のクオリファイング・オファー拒否選手を獲得した場合、来年のドラフトにおける2番目に高い順位の指名権と国際ボーナスプール50万ドルを失う。2人目を獲得した場合は3番目に高い順位の指名権と国際ボーナスプール50万ドルも失う。該当するのはエンゼルス、アストロズ、アスレチックス、ブルージェイズ、ブレーブス、カージナルス、カブス、ジャイアンツ、メッツ、ナショナルズ、フィリーズ、レンジャーズ、レッドソックス、ホワイトソックス、ヤンキースの15球団。

【3】ぜいたく税を支払っているチームが他球団のクオリファイング・オファー拒否選手を獲得した場合、来年のドラフトにおける2番目と5番目に高い順位の指名権と国際ボーナスプール100万ドルを失う。2人目を獲得した場合は3番目と6番目に高い順位の指名権も失う。該当するのはドジャースとパドレスの2球団。

なお、メッツは今年のドラフトで1巡目指名のクマー・ロッカーと契約せず、その補償として来年のドラフトで全体11位の補償指名権を獲得している。1巡目に2つの指名権(全体11位と全体14位)を持っており、他球団のクオリファイング・オファー拒否選手を獲得した場合は2番目に高い順位の指名権(=全体14位)を失うため、他球団のクオリファイング・オファー拒否選手の獲得には慎重になると思われる。

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