大統領選から1年

 英国で開催中の国連気候変動枠組み条約締約国会議。人権活動家のスピーチの途中で、腕組みをしたまま20秒ほど目を閉じ、側近らしい男性に話しかけられて目を開く姿が先週、世界に報じられた。米国のバイデン大統領、お疲れの様子▲「対立の悪夢に今、この場所で終わりを」と訴えた大統領選の勝利宣言から1年。50%台の支持率を安定的に維持していたが、8月下旬から支持と不支持が逆転しているそうだ▲アフガニスタンからの米軍撤退は「タリバンの復権を招いた」と批判され、新型コロナウイルス対策で打ち出したワクチン接種とマスク着用の義務付けにも異論や反発がやまない。大型の公共投資を柱とする歳出法案は身内の民主党内で足並みが大きく乱れた▲昨日伝えられた米紙の世論調査結果では、3年先の大統領選再出馬に「反対」との回答が63%に上った。「きょうが大統領選の投票日なら誰に?」の問いでは44%がトランプ前大統領の名を挙げたという▲乱暴な言動ばかり記憶に残る前任者の根強い人気は外野から見れば意外だが、深刻なバイデン離れの表れと言うほかない。昨日の外信面には1年後の中間選挙の行方を危ぶむ記事があった▲就任の瞬間から米大統領の最年長記録を日々更新中のバイデン氏、20日に79歳の誕生日を迎える。(智)

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