型にくっつくのはなぜ?型離れがよくなる下準備、ブーレファリネの正しいやり方
型から外れない…。そんな失敗ありませんか?
お菓子作りをしていて、生地作りや焼成はうまくいったのに最後の型出しで失敗してしまったことはありませんか? せっかくのお菓子がボロボロになってしまうと悲しいですよね。 でも大丈夫!型出しの失敗は、下準備をしっかりすることで防げます。 今回は、バターと強力粉を使った型の下準備の正しいやり方や、疑問について解説します。
型の下準備方法、いろいろ
型の下準備には、いくつか方法があります。
敷紙を敷く方法
敷紙を敷く方法はパウンド型・スクエア型・デコ型などなら、対応可能。ですが、マドレーヌ型やフィナンシェ型、タルト型などにはできません。
離型油スプレーをかける方法
離型油はするりと型から出せてとても便利なうえ、吹きかけるだけと作業性は抜群。ただ、たまにお菓子作りをする場合には、量が多くてなかなか使いきれないのが難点です。 また、バターの香りを大事にしたいお菓子には避けたほうがよい場合も。
バターのみを塗る方法
シリコン加工されている型など、型によってはバターのみできちんと外れる型もあります。 でも、何回も使用するうちに加工の効果が薄れてきてしまい、バターだけではくっついてしまうことも。
バターを塗って強力粉を振りかける方法
バターを塗った後で強力粉を振りかける下準備方法を、フランス語で「ブーレファリネ」といいます。 敷紙を敷けない模様のある型や、シリコン加工ではない型など、どんな型にも対応できる方法です。 型から外れやすく、焼き目もきれいに出やすいといいことずくめ。 一見、面倒な準備ですが、慣れてしまえば簡単にできるので、ぜひ正しいやり方を覚えてくださいね。
型に塗るバターの状態は?
バターは、常温に戻したクリーム状のものを使います。マヨネーズくらいのやわらかさが◎ 理由は、かたすぎても溶かしバターでも、塗りムラができやすくなるから。
クリーム状のバターと溶かしバターをマドレーヌ型に塗り、比べてみましょう。 右の溶かしバターは、型の上から下に流れてしまい、バターがたまった部分ができています。
たまったバターに気付かずそのまま強力粉を振ってしまうと、写真のようになります。
マドレーヌの模様になる溝にたまっているので、模様がきれいに出ない原因に。また、バターが塗れてなかったり薄かったりすると、生地がくっついてしまいます。 このようなムラを防ぐためにも、クリーム状のバターを使うようにしましょう。
強力粉を使う理由は?薄力粉ではないのはなぜ?
バターの上に振りかけるのが強力粉なのはなぜでしょう。薄力粉ではだめなのでしょうか? 強力粉である理由は、ダマにならず、きれいに分散しやすいから。 強力粉は薄力粉よりも粒子が粗いので、粒子同士がくっつきにくく、型に満遍なく振りかけることができるのです。 クッキー生地やパイ生地の打ち粉に強力粉を使うのと同じ理由ですね。 クリーム状のバターに、強力粉と薄力粉を振りかけたものを比較してみましょう。 わずかな差ですが、強力粉のほうが薄く均一に付いています。
薄力粉は厚めに付くことがあり、焼き上がりが粉っぽくなってしまうことも。また、粉がついてない部分があると型外しの失敗の原因になります。 薄力粉でもできないことはないのですが、強力粉のほうがおすすめです。
ブーレファリネの正しいやり方
マドレーヌ型を例に、ブーレファリネのやり方を確認しましょう。
工程
1. クリーム状のバターを、型の模様に沿ってハケで塗る。 *塗りムラがないように、薄すぎず厚すぎず均一に、丁寧に塗りましょう。
工程2の冷蔵庫で冷やすというひと手間で、より型離れがよくなります。 バターを塗って冷蔵庫に入れておく作業までを前日にやっておくのもおすすめ。 生地を仕込んだ後に強力粉を振りかければいいので、らくちんですよ。 きちんと型の下準備ができていると、焼き上がりにトントンと型を打ち付けるだけで外れます。
パウンド型だとどうする?
パウンド型でも、マドレーヌ型と手順はほぼ一緒です。 パウンド型でのポイントは、以下の2つ。1.四隅にバターを丁寧に塗る
2.側面にもきちんと強力粉をまぶすパウンド型の場合、側面に粉が振りかけにくいですよね。 粉を振り入れた型を片手で持ち、トントンと型をたたきながら粉が側面に行き渡るようにするとよいでしょう。
パウンド型も、きちんと下準備ができていればスルリと型出しできますよ。
パウンド型の下準備はどちらがいい?敷紙 or バター+強力粉
パウンドケーキは敷紙を敷いて焼くことが多いと思います。バターと強力粉で型の下準備をする利点はあるのでしょうか? 焼き上がりを見比べてみましょう。敷紙で焼いたもの敷紙を剥がすと焼き目が敷き紙に付いて、少し剥がれてしまいます。
側面と角の見た目。
バター+強力粉で焼いたもの敷き紙のものと比べると、焼き目が剥がれず、きれいな焼き色が出ています。
側面と角の見た目。敷き紙のものと比べると、端が角ばってシャープな印象です。
2つの下準備方法の違いは、基本的に見た目の違い。どちらを選ぶかは好みでよいと思います。 特に、グラスアローやチョコでコーティングするものなど表面が見えないものなら、やりやすいほうで問題ありません。 注意してほしいのは、焼き上がりがやわらかい生地。この場合は、敷紙を敷いておいたほうが出しやすい場合があります。
しっかり準備をして、型からきれいに外そう!
バターと強力粉を使ったブーレファリネはどんな型にも使えて役に立ちます。 きれいな焼き上がりのお菓子を作るために大事な型の下準備、ぜひ覚えておいてください♪