「お帰り」飛鳥Ⅱ クルーズ船が1年9カ月ぶり長崎寄港 市民ら歓迎

1年9カ月ぶりとなるクルーズ船の長崎寄港。長崎港に姿を見せた「飛鳥Ⅱ」=10日午後1時13分

 国内クルーズ船「飛鳥Ⅱ」(約5万トン)が10日、長崎に寄港した。乗客がいるクルーズ船が長崎港に入るのは、新型コロナウイルス感染拡大前の昨年2月以来約1年9カ月ぶり。松が枝岸壁に約4時間接岸し、乗客100人を降ろした後に出港した。
 運航する郵船クルーズ(横浜市)によると、8日に横浜港を出発。途中はどこにも寄港せず、10日午後2時に長崎に入港した。乗員乗客約530人。乗客にはワクチン接種証明の提出や出発前のPCR検査を義務付けた。県は、船内の感染対策や航行中の乗員乗客の健康状態について同社に報告を求め、発熱者がいないことを確認した。
 下船した乗客は、県内の観光パンフレットやコロナ対策認証施設の案内を受け取り、グラバー園やハウステンボスに向かった。
 乗客の北内政弘さん(69)=横浜市=は「(乗客が)接種証明を提出するので安心だった」。60代夫婦=長崎市橋口町=は「船内では(個人が)立ち寄った場所を記録するなど感染対策がきめ細やか。安全な旅だと口コミで広がれば、船旅(の人気)が戻るのでは」と話した。
 接岸した松が枝岸壁では市民が手を振って迎えた。飛鳥Ⅱに乗船経験がある近くの笠戸千鶴さん(68)は「待っていた。マスクをしなくてよくなったら、また乗りたい」。周辺の土産店からは観光客増に期待する声も。岩崎本舗グラバー園店の池田梨紗さん(41)は「コロナ前、クルーズ船が入港したときは書き入れ時だった。対策をしっかりしてもらえれば地元としては歓迎」と話した。
 現時点でクルーズ船の今後の長崎入港予定はなく、県国際観光振興室は「船会社と協議しながら誘致を進めたい」としている。

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