コロナ補助金の交付遅れ「過失」 長崎の医院が国に損害賠償請求

 医療機関向けの新型コロナウイルス対策補助金の交付が7カ月程度遅れているとして、長崎市の本田内科医院が国に約500万円の損害賠償を求める訴訟を長崎地裁に起こした。同医院理事長の本田孝也氏が11日、県庁で会見し明らかにした。代理人弁護士によると、同様の訴訟は全国的にも珍しい。
 訴状などによると、同医院は発熱外来に対する補助金について、未払い額の支払いを求めている。補助金はいったん概算で請求し、入金を受けた後、確定額との差額を請求し精算する仕組み。同医院は3月に概算分約290万円の交付が決定し「決定日の約1~2週間後に入金する」という趣旨の書面を受け取ったが、11日現在いまだに入金されていない。精算申請に必要な確定通知書も届かないため、差額約66万円を請求できない状態が続いているという。
 同医院側は入金や文書送付の遅れを「厚生労働省の担当職員の事務処理上の過失」と指摘。経営上の不安を与えたとして慰謝料も求めた。提訴は10月26日付。
 県保険医協会(会長・本田氏)の会員アンケートでは、回答した45人のうち32人が精算申請をできていなかった。本田氏はコロナ禍で医療機関の減収が目立つとした上で「補助金遅延で困っている医療機関を代表して訴えた。厚生行政を抜本的に変えてほしい」と語った。
 厚労省の担当者は「訴状が届いておらずコメントできない」としている。

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