獣害対策へ、全国初の「ハンターバンク」 小田原市と小田急協定

小田原市内でハンター希望者らを募集し行われた「ハンターバンク」の実証実験(小田急電鉄提供)

 都会暮らしの隠れハンター、小田原で狩猟を─。イノシシやシカによる農業被害を食い止めようと、小田原市と小田急電鉄は11月から、東京や横浜など首都圏に住む狩猟免許保有者に小田原の山間部に来て狩猟してもらう「ハンターバンク」をスタートした。活動の場がない「ペーパーハンター」と鳥獣被害に頭を悩ます地元農家を橋渡しする全国初の試み。地元猟友会の高齢化が進む中で若いハンター人材を確保するとともに、関係者は「ハンター志願者の移住にもつながれば」と期待を寄せる。

 社会貢献の一環として同社は10日、同市と事業展開に向けた協定を締結した。星野晃司社長は協定式で「線路にイノシシが入り込んで電車が止まったり、系列のホテルで植栽が荒らされたり、電鉄会社にとっても鳥獣被害は人ごとではない」と訴えた。

 登録には基本料金1人1500円と月額プラン料金2~3万円が必要で、仲間とグループでの登録も可能。登録すると同社がハンターの助けを求めている農家とマッチングする。レンタルの箱わなを農地や山の中にハンターが設置し、実際に獲物を捕らえたときは農家からハンターに連絡。現地に赴いて獲物を捕らえた後は、同社の作業スペースで自家消費分のジビエを解体することができる仕組みという。

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