ソフトバンク・藤本監督 イチオシの最速15キロ育成右腕は…阪神元監督「カッちゃん」の親戚

ソフトバンク・中村亮(東スポWeb)

ソフトバンクの新たな「育成の星」を目指してアピールにやってきた。昨年のドラフト育成8位入団の中村亮太投手(23)が14日、宮崎秋季キャンプ(生目の杜運動公園)に合流。育成選手はファーム施設のある福岡・筑後で秋季練習を行っているが、藤本監督ら首脳陣の強い希望で宮崎入りが実現した。

筑後でリハビリ中の東農大北海道オホーツクの先輩・周東に「頑張って来いよ」と送り出されてやってきた最速154キロ右腕。藤本監督の熱視線を受けてブルペンでは力みもあったが、一軍首脳陣の前で力のある真っすぐを中心に堂々と42球を投げ込んだ。

同じタイミングでブルペンに入った他の投手たちと明らかに違ったのは、投球テンポの良さだった。かねて「そこがいいところだと、よく言われます」と長所と心得ている。投げ急ぎにならないように留意しながら投げるほど。リズムよく投げる理由の一つは、後ろを守る野手心理を考えてのものだ。

子供の頃に「カッちゃん」と呼んでかわいがられた。かつて阪神、オリックスで監督、GMを務めた故・中村勝広さんは「大叔父」に当たる。生前は毎年正月に野球を教わった。今も心に留め置く言葉は「克己心」。精神面をよく説かれ「『自分の甘さに勝て』と言われた。『男とはこう生きるんだ』ってことを教わりました」。野手思いのテンポの良い投球は「カッちゃんの教え」が少なからず影響しているように映る。

二軍監督として指揮した今秋の「みやざきフェニックス・リーグ」でも中村亮を積極起用した藤本監督。「速い真っすぐがあるけど、空振りが取れない。ボールが見やすいところもあるのかもしれない。フォームの修正とか、スピードが落ちないように何とかならないかっていうところ。育成の中では可能性を感じさせる楽しみな投手なんで、一軍の投手コーチに見てほしかった」。期待をかけつつ具体的な課題を挙げて、宮崎で成長のきっかけをつかむことを求めた。

2022年から球団の一大プロジェクトである「拡大三軍制」がスタートする。今秋ドラフトでは14人の育成選手を指名。さらに、この秋だけで育成契約を交わした外国人選手は4人に上る。支配下枠をかけた競争は一段と激しさを増す。昨年ドラフトでホークスから一番最後に名前を呼ばれた男は「克己心」を胸に、立身出世を果たせるか。

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