Yahoo!広告が政治広告における「政党」の判断基準変更を発表【担当者にインタビュー】

Yahoo!広告を運営するヤフー株式会社は、広告掲載基準における「政党」の判断基準を変更し9月22日から適用開始しています。

国内のネット広告プラットフォーマーとしては初めての試みといえるこの政治広告におけるレギュレーション変更について、選挙ドットコム編集部はYahoo!広告の担当者の方にお話を聞きました。

今回の判断基準変更の背景は?

―今回の判断基準の背景を教えてください。

ヤフー株式会社・弁護士の今井氏(以下、今井氏)

これまでも弊社において政党広告に関するガイドラインはありましたが、対外的には抽象度が高く、社内でそれを公職選挙法などと照らして解釈し適用するという運用をとっておりました。

平成25年の公職選挙法改正でインターネット広告が可能になりましたが、インターネット上における政治活動を取り巻く状況が大きく変化しているにもかかわらず、依然としてインターネットを利用した政治活動に関するルールが充分に整備されているとはいえない環境にあります。

衆院選を控え、選挙関連の広告入稿が今後増えることが予想されたため、これを機会に、公正公平な選挙を実現するため、広告主である政党等の皆様に向けて対外的に明確かつ可能な限り具体化した基準を公開する必要があると考えました。

ヤフー株式会社・今井氏

判断基準変更にあたっては公的機関にもヒアリングを行った

―今回の変更にあたって総務省等にも相談を行ったのでしょうか。

今井氏

具体的なケースに関しては総務省が出しているガイドラインにもほとんど具体的な記載がなく、判例でも示されているのは抽象的な内容にとどまっており、行為の目的と手段によって総合的に判断することになっています。

主に選挙管理委員会に公職選挙法の一般的な解釈について問い合わせを行い、可能な限りヒアリングした上で基準を策定しました。そして、その基準を法律事務所にも確認していただきました。

―公開された資料ではかなり厳密なところまで詰められているという印象です。

今井氏

公職選挙法では判断基準が示されていない上、最高裁判例における選挙運動の判断基準も個別具体的に総合的な判断をするという書きぶりになっています。そのため、今回変更した判断基準も、可能な限り法令やガイドラインを考慮したものではありますが、完全に公職選挙法の解釈を示したものではないということも広告主様にはお伝えしております。基本的には当社独自の基準という形をとっています。

Yahoo!広告判断基準抜粋

ネット上の政治広告も公平公正な内容で正しい情報を伝えるために活用していただきたい

―今回の判断基準変更で政党等の方々からの問い合わせはありましたか

ヤフー株式会社・中村氏(以下、中村氏)

これまでの傾向からしても新たに基準を加えたり、見直したりするとやはり広告主や広告代理店からのお問い合わせは一時的に増えますので、今回も変更内容に照らして「このような広告表現は掲載できるのか」といったような問い合わせを多くいただいています。

以前より政党の皆様の政治広告は受け入れておりましたので、これまで通り今回も掲載したいが、引き続き掲載していくにあたって新しい基準はどのようなものか、という質問が多くなっています。

ヤフー株式会社・中村氏

―今後、政治活動におけるネット広告の利用促進に向けた展望などはありますでしょうか。

中村氏

以前から政治広告については広く受け入れておりましたので、国民の皆様にメッセージを伝える場として私たちの媒体、プラットフォームを活用いただくことを今後も推進していきたいと思っております。引き続き、公平公正な内容で正しい情報を伝えていく場になればと考えております。

―今回は貴重なお話ありがとうございました。選挙ドットコムも公平公正で健全なネット上での政治コミュニケーションに向けた取り組みを後押ししてまいりたいと思っております。

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