1年前は涙を呑んだエバンス「可能性はゼロではない」/2021WRC第12戦モンツァ 事前コメント

 2020年に初めて世界選手権イベントとして開催された『ラリー・モンツァ』が、ふたたびWRC世界ラリー選手権の1戦としてカムバック。今年も新型コロナウイルスの影響を受けて開催がキャンセルされた『ラリージャパン』に代わって11月19~21日に、2年連続でシーズン最終戦が開催されることになる。これに先立ち最高峰カテゴリーのWRCクラスに参戦するMスポーツ・フォードとヒュンダイ、トヨタの各陣営から出場ドライバーたちの事前コメントが発表された。

 イタリア伝統のグランプリコースであるモンツァをその名に冠するイベントは、文字どおりハイスピードリンクで知られるクラシック・サーキットを中心に開催されるターマック(舗装路)ラリーだ。

 合計16本のスペシャルステージ(SS)はサーキット内に設定されたものと、モンツァの北東に位置する古都ベルガモ周辺の山岳ステージのふたつに分けられ、初日19日(金)と翌20日(土)の午前中は後者でスピードテストが行われる。

 一方、両日午後のステージと最終日の21日(日)に行われる、合わせて8本のSSは前者で実施される予定だ。サーキットでは新旧レーシングコースと、その周辺に張り巡らされたサービスロード(施設道路)が組み合わされたステージとなっており、サービスロードの一部には未舗装の区間もあることから、昨年のように降雨に見舞われると泥によって非常に滑りやすくなる。

 2021年シーズンの最終戦にして、現行WRカーにとっては最後の公式戦となるラリー・モンツァはSS合計距離253.18kmで争われる。リエゾン(移動区間)を含めたラリーの総走行距離は677.62kmとなる予定だ。なお、今戦ではヒュンダイの“ダブルエース”の一角であるオット・タナクが家庭の事情により欠場することになり、Mスポーツから移籍したテーム・スニネンが代役を務めることがアナウンスされている。

■Mスポーツ・フォードWRT

●ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)

「モンツァはふたつに分かれたラリーだ。サーキットでのステージがあり、また、多くのグラベルや草地が組み合わされているところもある。通常のターマックラリーでは見ることがないものだよ」

「また、実際にサーキットのターマックのセクションもすごく違っている。単独会場の形式のようで、1年を通じて目にするものとはかなり異なっている」

「そして山間部のステージにも行くことになるが、3つのステージは昨年と同じだ。個人的な経験から、そこがとてもトリッキーだと知っている。でも昨年はそこでとても楽しめたけれどね。今週末は良い結果を出せるところもあると思うよ」

●アドリアン・フルモー(フォード・フィエスタWRC)

「モンツァに戻ることに本当に興奮している! 昨年はこのラリーにフィエスタ・ラリー2で参戦したからね。自分のペースには満足できたから、今回のラリーでも良いペースが出せるよう期待しているんだ」

「サーキット内のステージを走行するのはいつも興味深いものだし、山間部も素晴らしい。ここには山の中の美しいステージもある。昨年は天候の関係で大きなチャレンジになったから、コンディションがもう少し良いものになることを期待して様子を見よう」

「サーキットエリアに観客が戻ってくるのもうれしいね。あそこで彼らに会うのを楽しみにしているよ。Mスポーツと僕のパートナー全員に、素晴らしいシーズンになったことについて感謝したい」

2020年WRC第7戦モンツァ ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)

■ヒュンダイ・シェル・モビスWRT

●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)

「ラリー・モンツァにはこれまでに何度か参戦してきた。WRCイベントとモンツァ・ラリーショーの両方でね。だから道路についてはよく知っているよ。ステージには多くのシケインとコーンがあってユニークだ」

「伝統的なラリースタイルではないが、今年はより典型的なイタリアの山間部のステージが増えるようだ。一方でモンツァ・サーキットで競うのも素晴らしい経験だ」

「今回はシーズン最後のイベントだから、僕たちの目標はハードにプッシュしてトップで戦うことにある」

●テーム・スニネン(ヒュンダイi20クーペWRC)

「ヒュンダイ・モータースポーツのWRCラインアップの一員としてラリー・モンツァに参戦できるということは、僕たちにとって素晴らしいチャンスだ。チームが設定した目標にしたがって、限界のスピードを見せるよ」

「ヒュンダイi20クーペWRCは僕にとって新しいマシンで、慣れるのに少し時間が必要なのは確かだ。イベント前のテストで初めて走らさせたが、勝てるマシンであることは間違いないよ」

「イベントとしてのモンツァは、グリップとリズムの点で多くの変化がある。また、山間部のステージとサーキットのセクションの間にはかなりの違いがある。これは素晴らしいシーズンの締めくくり方だ!」

●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)

「モンツァはいつだって走るのに素晴らしいラリーだ。2020年に僕たちはここでマニュファクチャラーズ選手権のタイトルを手に入れたから、チームにとってはもちろん特別な場所だよ」

「僕はこのイベントの形式をとても気に入っている。ステージの一部はサーキットで、その他は山間部で行われる。昨年はとても楽しかった。とくに天候の状態がトリッキーだったからね」

「クルーと観客、双方がこのラリーをとても気に入っていると思うよ。僕はもちろんベストを尽くし、可能な限り今年最高の結果を出すつもりだ」

2020年WRC第7戦モンツァ ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)

■TOYOTA GAZOO Racing WRT

●セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)

「今回のラリーが僕たち、とくにジュリアンにとって、このスポーツにおけるひと区切りになることは事実だ。しかし、現時点ではそのことについてあまり深く考えていないし、それが最善のアプローチだと思っている。だから、いつもどおりベストを尽くし、両タイトルの獲得に集中するつもりだ」

「もちろん、今回のモンツァでの我々の状況は1年前に比べるとかなり有利な状況にあり、ドライバー選手権で17ポイントリードしている。しかし、まだ終わったわけではないので、集中力を切らさないようにしなければならない」

「先週、イタリアで良いテストができたので、適切なリズムでラリーをスタートし、良いパフォーマンスを発揮し、チャンピオンシップを意識しながら上位を目指して戦いたいと思っている」

●エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)

「ドライバーズタイトル獲得の可能性を残したまま最終戦を迎えることができて良かった。可能性はゼロではないので、スコット(・マーティン/コドライバー)とともにベストを尽くして戦っていく。できる限り最高の結果を目指し、その上で状況がどうなるのかを見極めるアプローチをとるだろうね」

「シーズン中盤の苦しい時期を経て、ここ数戦は好調だが、モンツァはまったく違うチャレンジになる。山岳地帯のステージはとても素晴らしいが、サーキットのステージは路面が非常に複雑で、流れるようなコーナーもない」

「ラリー前のテストでそのすべてを把握することは不可能だが、昨年の経験から、どう対処したら良いのかは理解しているよ」

●カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)

「今年のモンツァも面白いラリーになりそうだ。昨年は天気が荒れたことで特殊なイベントになったけど、いずれにしても難しいラリーになると思う。今年は一般的な山道でのステージが多くなるので、それは歓迎すべきことだ」

「一方、サーキット内は一本のステージにいろいろな要素が含まれていて、雨が降ると泥が多く出てトリッキーなコンディションになるだろう。ベストな順位を狙って戦いつつ、最後までクリーンにラリーを走り切ることが今回の自分たちの目標だ」

「チャンピオンシップを争っているチームメイトとともに、マニュファクチャラーズタイトル獲得に必要なポイントを得られる順位にしっかりつけていることが重要だと考えている」

2020年WRC第7戦モンツァ セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)

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