鷹島の海底遺跡 元寇船いかり引き揚げに国が前向き 松浦市長予算求める

矢野官房長(左から4人目)に要望書を手渡す友田市長ら=文科省

 長崎県松浦市の友田吉泰市長は17日、文部科学省と文化庁を訪ね、同市鷹島沖の鷹島海底遺跡に沈没している元寇船の木製いかりの引き揚げについて、来年度確実に着手するための予算措置を要望した。出席者によると、対応した文科省の矢野和彦官房長は「日本の水中遺跡は他国に後れを取っており、これから2、3段階前に進める必要がある」と話し、予算措置に前向きな姿勢を示したという。
 市は、いかり引き揚げに向けてガバメントクラウドファンディングで費用を募り、目標額を超える金額が集まった。これに国の予算などを加えて引き揚げを実施したい考え。
 要望は、引き揚げ後の保存処理法が確立し「日本の水中考古学は新たな段階を迎えている」と指摘。海底遺跡の別の場所に沈没している元寇船の引き揚げを国家プロジェクトとして実施することや、水中考古学の専門研究機関を国の独立行政法人として鷹島町に設置することも求めた。
 友田市長は要望後「大変心強い言葉をもらった。鷹島は水中考古学分野で世界のトップランナーとして貢献できる最適な場所になる」と話した。同席した秋野公造参院議員(公明)は「踏み込んだ発言で引き揚げに大きな前進。研究機関の設置もこれから大きく議論が進むと思う」との認識を示した。


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