旧制中学の青春の記憶、現役生に 神奈川県立横須賀高同窓会が文集寄贈

文集を手にする(右から)海浦洋子校長、富永衛さん、上林茂さん、朋友会の大竹英恵会長=県立横須賀高校

 旧制中学時代の記憶を現役の高校生につなごうと、神奈川県立横須賀高校(横須賀市公郷町3丁目)の同窓会「朋友会」が20日、OBの寄稿をまとめた文集「偲(しの)ぶ 記恩(きおん)ケ丘」を母校に寄贈した。前身の横須賀中学校で戦前から戦後に青春を過ごした9人の経験が率直につづられている。

 文集は、旧制中学卒業者が全員90歳以上となったのを機に、当時の思い出などを募ってまとめた。寄稿者の一人、富永衛さん(91)は戦後間もない1946年に横須賀中学4年に転校。「試験なしで入れてくれた。校長先生が寛大な方だった」と当時を振り返り、授業の記憶などを記した。

 寄稿依頼や文集タイトル考案をした上林茂さん(90)は「中学2年の秋から(海軍の)航空技術廠(しょう)に動員された。3年の8月に終戦になった」と振り返る。授業どころではない時代を過ごした経験を踏まえ、在校生に向けて、「世界情勢を見極めて状況判断をしながら、正しい道に進んでもらいたい」と思いを込めて話した。

 文集は、同高の図書室などに置かれる予定。自身も同高OBの海浦洋子校長は「今の高校生は平成生まれで、歴史の教科書のようなものかもしれないが、先輩から脈々とつながった自分がいると感じてもらいたい」と話していた。

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