森保一監督はW杯出場を勝ち取れるか 思い出される広島指揮官時代の記憶

12年に優勝した広島・森保一監督(左)と佐藤寿人(東スポWeb)

【取材の裏側 現場ノート】サッカー日本代表は、9月にスタートしたカタールW杯アジア最終予選の初戦でオマーンにホームで敗れるなど序盤でつまずいた。10月の時点で4戦を終えて2勝2敗と最終予選B組で4位と低迷したが、ともにアウェーだった11月のベトナム戦とオマーン戦に連勝してW杯圏内となる2位に浮上した。

そんな戦いぶりを追いかけているうちに、あることが頭をよぎった。森保一監督(53)は広島を指揮して3度のJ1優勝(2012、13、15年)に導いた後、17年は序盤から低迷。2勝11敗4分けの17位でJ2降格圏に沈んでいた同年7月3日限りで退任。同シーズンはJ1残留を勝ち取ったが、森保監督が続投していても、同じ結果になったか気になったのだ。

記者は広島の監督として最後の指揮となった3―4で敗れた浦和戦(埼スタ)翌日(17年7月2日)、神奈川県内で森保監督を直撃した。「厳しい状況で、苦しい状況だけど、僕自身は毎試合勝てると思ってやっている。苦しいときだからこそ、やりがいも感じている。泥臭くはい上がってJ1に残留したいし、それができると思っている」などと巻き返しへ自信をにじませていた。

今となっては、その言葉通りになっていたか確認は不可能だが、今度は日本代表監督として迎えた苦境では、指揮を続けながら、はい上がってきた。来年に控える最終予選4試合も予断を許さない戦いが続く中、森保監督がB組2位以上でW杯切符を勝ち取ることができるのかどうかが、永遠に出ない答えの〝ヒント〟になると思っている。

(サッカー担当・森下久)

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