FAの捕手市場は不作 捕手の補強が必要なチームはトレード検討か

今オフのFA市場は先発投手や遊撃手に大物が多く、「豊作」と言われている。しかし、そのなかで史上稀にみる「不作」となっているのが捕手だ。FA市場に残っている捕手のうち、「ファングラフス」による来季の成績予想でWARが1を超えているのはヤン・ゴームス(1.8)だけ。FA市場に予算を投じたところで捕手のグレードアップは期待できない。捕手の補強が必要なチームはFA市場ではなく、トレード市場に目を向けることになりそうだ。

FAの捕手市場が「不作」であることを踏まえ、早々に捕手補強に動いたチームがある。タイガースはレッズからゴールドグラブ賞2度のタッカー・バーンハートを獲得し、ブレーブスはブリュワーズからFAとなった堅守のマニー・ピーニャと2年契約を結んだ。決して大物捕手ではないものの、「不作」の捕手市場のなかで限りなくベストに近い動きを見せたと言えるだろう。

FA市場に残っている捕手は、ゴームス、ロベルト・ペレス、ウィルソン・ラモス、カート・スズキ、ルーク・メイリー、スティーブン・ボート、ペドロ・セベリーノといった面々。メジャーリーグ公式サイトのマイク・ペトリエロ記者は「今オフの市場にはJ・T・リアルミュートのようなスター捕手どころかジェームス・マッキャン級の捕手すらいない」と記している。バスター・ポージーが引退したジャイアンツ、ゲーリー・サンチェスからのグレードアップを模索するヤンキースなどは、FA市場で満足のいく捕手を手に入れることは不可能だ。

よって、捕手の補強が必要なチームはトレード市場に目を向けることになる。ペトリエロ記者は、トレード移籍の可能性がある捕手としてウィルソン・コントレラス(カブス)、ジェイコブ・ストーリングス(パイレーツ)、ミッチ・ガーバー(ツインズ)、カーソン・ケリー(ダイヤモンドバックス)、ダニー・ジャンセン(ブルージェイズ)の5人をピックアップ。とはいえ、FAの捕手市場が「不作」である以上、トレード市場の捕手の価値は相対的に高まり、売り手側が強気に出てくることが予想される。やはり、今オフの捕手補強は簡単ではなさそうだ。

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