【九州場所】有言実行!〝一人横綱〟照ノ富士が土俵外で見せた「変化」

照ノ富士(左)は遠藤を押し出し初日から8連勝(東スポWeb)

土俵の内外で一人横綱だ。大相撲九州場所8日目(21日、福岡国際センター)、横綱照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)が幕内遠藤(31=追手風)を押し出して初日から8連勝。大横綱の白鵬(現・間垣親方)引退により名実ともに番付最高位の重責を担う中で、土俵上で貫禄を見せ続けている。角界をけん引することを誓う横綱には、土俵外でも「ある変化」が起きているという。どういうことか?

過去5勝5敗の難敵・遠藤を力強く土俵外へ押し出した。盤石と言える内容で、4場所連続のストレート給金。取組後は「差されないようにと思って当たった。(立ち合いは)フワッと立っちゃった」と反省が口を突いたが「まだ終わっていない。残り頑張ります」とこのまま全勝を続ける決意を示した。

今場所は元横綱白鵬の引退で、名実ともに一人横綱として臨んでいる。ヒザの状態などの懸念はあるが、場所前には「自分が背負ってやらなければいけないことが多い」と覚悟を口にしていた。それを証明する有言実行の働きだ。

一時は序二段まで転落し苦悩する姿を間近で見てきた伊勢ヶ浜部屋関係者は「彼は人より何十倍も苦労してトレーニングしてきた。関取衆の中では今もうちの部屋で一番早く来て稽古している。だからうちの部屋では一番長く稽古場にいるのが照ノ富士。(師匠の伊勢ヶ浜)親方の『稽古はウソをつかない、稽古をすれば強くなる』という言葉を着実に実践して守っている」と照ノ富士の強さの秘密を語る。

自身の相撲に対する真摯な姿勢と信念を貫き通すことで、番付最高位となっても崩れない安定感を証明し続けている。その一方で「ある変化」も見られるという。

同関係者がこう明かす。「彼はこれまでメディアに対して協力的ではない部分があった。それはかつてあるメディアが彼に閉鎖的なコメントを書いたから。でも『これからは積極的に発信していこうと思っています。相撲界でニュースや、なるほどと思ってもらえることを発信できるのは今は自分しかいない。今後の相撲ファンを増やすためにもしっかり話をしていきたいと思う』と言っていた。横綱となり、その面がオープンになったことを感じる」

情報発信の面でも大きな意識の変化。角界をけん引しなければならない一人横綱としての責任が、土俵外でも芽生えていることをうかがわせる。

まずは1962年初場所の〝昭和の大横綱〟大鵬以来59年ぶりの新横綱からの連覇というビッグニュースを発信したいところだ。

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