プロスペクト抱えるヤンキース 大物遊撃手の獲得レースから撤退か

今オフのヤンキースはブライアン・キャッシュマンGMが遊撃手を補強ポイントに挙げていたこともあり、ドジャースからFAとなったコリー・シーガーを獲得する最有力候補であるとみられていた。ところが、地元紙「ニューヨーク・ポスト」のジョエル・シャーマン記者によると、ヤンキースはFAの大物遊撃手の獲得を積極的には考えていないという。複数のプロスペクト遊撃手を抱え、主砲アーロン・ジャッジのFAが迫っていることなどから、大物遊撃手の価格が下がらない限り、手を出すつもりはないようだ。

シャーマン記者はヤンキースと交渉を行った他球団の球団幹部や各選手の代理人の話として「ヤンキースは大物遊撃手の市場に積極的に加わらず、市場の動きを監視し、市場が崩壊するのを待っているようだ」と伝えている。フランシスコ・リンドーア(メッツ)が10年3億4100万ドル、フェルナンド・タティスJr.(パドレス)が14年3億4000万ドルという超大型契約を得たため、カルロス・コレアやシーガーも総額3億ドル規模の大型契約を狙っているようだが、ヤンキースには遊撃手に大金を投じる意思はないとみられる。

ヤンキースが大物遊撃手への投資を避ける理由は主に2つ。1つ目は複数のプロスペクト遊撃手を抱え、彼らのメジャー昇格が迫っていることだ。「MLBパイプライン」が公開している球団別プロスペクト・ランキングで1位のアンソニー・ボルプと3位のオズワルド・ペラザはともに遊撃手で、2023年ごろのメジャー昇格が予想されている。つまり、ヤンキースは2年くらいの契約で「つなぎ」の遊撃手を獲得するのがチーム事情に最もフィットする。よって、アンドレルトン・シモンズやフレディ・ギャルビスあたりが補強ターゲットとなるかもしれない。

2つ目の理由はジャッジが来季終了後にFAとなることだ。ヤンキースはジャンカルロ・スタントンとゲリット・コールの超大型契約を抱えており、ここに大物遊撃手とジャッジの超大型契約を加えると、ペイロールがかなり圧迫されてしまう。いくらヤンキースとはいえ、総額3億ドル規模の契約を4つも抱えるのは現実的な話ではないだろう。ジャッジとの契約延長交渉を控えている今、大物遊撃手に大金を投じる可能性は低いと思われる。

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