功績、美徳語り継ぐ ゆかりの地結びトーク 郷土の偉人前島密翁を顕彰する会 前島記念館で

 上越、東京、静岡、鹿児島など「郵便の父」前島密ゆかりの地を結び、その土地での功績を語り合うオンライントークが20日、上越市下池部の前島記念館で開かれた。「郷土の偉人前島密翁を顕彰する会」主催。

 前島は江戸に出る前の12年間を上越、糸魚川で過ごし、幕臣となって函館(北海道)で航海術を学び、鹿児島の洋学校で英語を教え、磐田(静岡)では民政や旧幕臣の世話に当たった。

 鹿児島市議で前島密顕彰会の会長を務める片平孝市さんは「前島の英語指導は実践的で、大人気だった。よく招かれ酒を飲み、大久保利通とも交流した。小松帯刀の慰留を振り切って江戸に戻ったのは、幕臣として薩摩藩の考え方とは相いれぬものがあったのだろう」と話した。

 「顕彰する会」の堀井靖功会長は、上越時代の12年間を紹介。「幼くして父を亡くした前島は、武家の出自である母の薫陶を受け、糸魚川で藩医だったおじに学んだ。後日、糸魚川での経験が江戸で大いに役立ったと述懐している。前島は上越で、忍耐力と大きな志を身に付けた」と述べた。

前島生誕の地・上越と東京(郵政博物館)、静岡(磐田)、鹿児島をオンラインで結び、その土地での功績を語り合った

 「顕彰する会」の下酉映暢さんは基調講演で「前島は役人として職務を果たし成果を挙げ、その名誉を上司に譲った。だからこそ美徳を呼ぶのであって、われわれは顕彰活動を続けるべきと思っている」とした。

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