北京五輪は「外交的ボイコットでは不十分」 テニス・彭帥〝行方不明〟問題で強まる逆風

彭帥(ロイター)

より強力な反対姿勢とは。女子テニスの彭帥(35=中国)が、中国の張高麗元副首相(75)に性的関係を強要されたと告発した後に行方が分からなくなっていた問題を受けて、海外では北京冬季五輪(来年2月開幕)について「外交的ボイコットでは不十分だ」との声が上がっている。

消息不明となっていた彭に関しては、中国メディア関係者がツイッターで〝本人〟の画像や動画を公開。また、国際オリンピック委員会(IOC)が、トーマス・バッハ会長が30分のビデオ通話を行ったことを発表するなど、騒動の火消しを図っている。

そうした中、カナダ紙「オタワ・シチズン」は、同国政府の要職経験者でオタワ大公共国際問題研究科シニアフェローのマーガレット・ジョンストン氏のコラムを掲載した。

ジョンストン氏は「(IOC側は)彭氏は自宅で安全だが、プライバシーを尊重したいと発表した。ただし、彼女に何が起こったのか、より多くの人が完全な答えを求めている」と指摘。その上で「IOCはすでにボイコットキャンペーンに苦しんでいる。また、180万人のウイグル族が投獄、洗脳、強制労働、また多くの場合は死にさらされている証拠が増えていることから、2022年は〝ジェノサイド五輪〟と名づけることができる」と述べた。

こうした五輪に反対の立場のジョンストン氏は五輪の1年延期と開催地の変更を望んでいる。しかし、これにはIOCのサポートが必要であり、現実的ではない。そこで、同氏は「外交的ボイコットだけでは十分ではない。より強力なのは、アスリートの開閉会式のボイコットだ」と提案。

「このような行動を起こすアスリートを生み出すためには、少数の著名なアスリートの強力なリーダーシップが必要。アスリートによる式典のボイコットは強力なメッセージを送り、外交ボイコットに加えて中国のメンツがつぶれる可能性につながる」と強調した。

「中国当局は08年北京五輪までに人権状況を改善すると約束したが、それは実現しなかったし、今回は約束も提供されていない」とジョンストン氏。3か月を切った五輪にも注目が集まる。

© 株式会社東京スポーツ新聞社