オリックス “ラオウ” 杉本に「イチロー超え」の期待…年俸10倍増オーバーへの条件とは

待望のシリーズ1号が飛び出したオリックス・杉本(東スポWeb)

パ王者のオリックスは日本シリーズ第3戦(23日、東京ドーム)でヤクルトに競り負けた。対戦成績1勝2敗とリードを許したが、本塁打王の〝ラオウ〟杉本裕太郎外野手(30)には待望のシリーズ初アーチが、主砲の吉田正尚外野手(28)も2打席連続二塁打を放つなど打線は上げ潮ムード。巻き返しは十分可能だ。

日本一なら「師匠超え」も夢ではない。試合には敗れたものの、同点弾を放ったオリックス・杉本に、早くも「イチロー超え」の声が高まっている。もっとも打撃成績のことではない。今オフ、急騰が予想される年俸のことだ。

杉本はプロ6年目とはいえ昨季途中から一軍での出場機会が増えたため、今季年俸は1400万円。他球団の主軸打者に比べると格安だった。だが、今シーズンは中嶋監督の期待に応え、チームの主砲として大ブレーク。32本塁打で本塁打王に輝いたばかりか、打率もリーグ3位の3割1厘をマークしてリーグ優勝に貢献した。そんなチームの功労者だけに、周囲では「どのぐらい年俸が跳ね上がるのか」と日本シリーズ前から球団内でも話題になっている。

現時点でその指標となっているのが球団OBのイチロー氏(48)の年俸推移。同氏はプロ3年目の1994年にシーズン210安打を放ち、打率3割8分5厘で首位打者を獲得。この結果、同年オフには年俸が800万円から一気に10倍の8000万円に急騰した。遅咲きとはいえ杉本も同じような「成長」を遂げただけに周囲では「一気に1億円の大台に乗る可能性はある」というのだ。

ただ、球団関係者によると、その条件には「日本一」が欠かせないという。

「同じように無名選手からタイトル獲得に至った経緯を考えれば、杉本も当時のイチロー並みの昇給は考えられる。ただ、周知のとおりオリックスはグループの売り上げこそ好調も、球団自体はコロナによる観客減の影響もあり興行収入はかなり厳しい。それでも、チームが日本一になればグループ全体に好影響をもたらし、さらなる利益増にも結びつくはず。そう考えると杉本の大台超えは日本シリーズの結果次第。イチローがブレークした94年はリーグ2位でしたし。来季への期待料も含め日本一なら現実味を帯びるでしょうね」

杉本はイチロー氏の現役時代に合同自主トレに参加。その際「追い込まれてからの打席での対応」などの打撃アドバイスを受けた。今季の覚醒にはその教えが影響していることを本人も何度も口にしている。

敗戦した第3戦の試合後には「(シリーズで)1本出たことはうれしいんですけど、勝てなかったので。また明日切り替えて頑張ります」と次戦に備えていた杉本。年俸面で師匠に続くためにも、負けられない戦いは続く。(金額は推定)

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